強制的な契約

「僕をどうするつもりですか……」




 魔法少女が戦闘している動画を見た事がある大火力で敵を掃討していたりと周囲に大きな被害を及ぼしている事を知っているので、もし目の前の魔法少女と敵対する事になり我が家に大きな被害を及ぼす危険性がある。




「どうって……、とりあえず新しい魔法少女が発見されたら保護して最寄りの魔法局につれていって登録なりしてもらう感じね」


「えっとじゃあ今から外出する用意をして玄関から出るので待っててくれますか?」


「そうね、私も報告しないといけないといけないからゆっくり準備しているといいわ」


 そう言って魔法少女はゆっくりと降りていった。






「「……ふう」」


 1人と1匹ともに緊張していたようでため息が重なる。


「というか自分は魔法少女になってしまったんですか?」


「不本意ながらそうなのだ、本来なら女の子しかなれないハズなのだ、たとえ兄妹で魂が似ているとしても男が魔法少女になるなんてありえないのだ」


「だよなぁ……」




 改めて自分の体を見てみるが先ほどあった長い髪もフリフリの服も大きな胸もないいつもの見られた男性の体だ。




「とりあえずさっきの魔法少女が待ってるだろうし行きますか」


「わかったのだ……」




 妖精側も納得がいってないまま外出の用意を済ませて外に出る、外に出ると先ほどの魔法少女が凄く不本意な顔をしながら電話をしていた、それから徐々にヒートアップしていき、


「私が嘘をつく訳ないでしょ!!!!!」


 周囲に殺気をまき散らしながら乱暴に通話を切った。




「あ、準備できました」


「そう……、とりあえず迎えが来てるから来て」


「あ、はい」




 怒鳴っていた魔法少女に少しビビッていたの微妙に距離を取りながら1人と1匹ついていく、大通りに出ると大型の車が止まっておりそれに乗り込んで移動する。








「それでなんで魔法少女になれたの?」


「「さぁ?」」




 1人と1匹が揃って首をかしげる、あまりに綺麗に揃っていたので魔法少女は少し噴き出した。




「それが本当にわからないのだ、確かにこの人を魔法少女にしたのはボクなのだ……」


「ちなみに過去に男性が魔法少女等になった事は……?」


「ある訳無いでしょ、変身できたのは前例無く思春期の女の子だけよ、だから魔法少女って名称になったのだから」


「そりゃそうっすよねぇ……」




 そうやって結論が出ないまま、目的地に到着したようだ。




「とりあえず中に入ったら右側にある待合室で待ってて」


「あ、はい」




 魔法少女はそう言って足早に魔法局の中に入って行った、自分達は運転手にお礼を言ってからゆっくりと中に入る。


 中は見渡す限りでは女性しかおらず、場違い感が凄くて今すぐにでも回れ右をして出て行きたいが我慢して右側にある誰もいない待合室で待機する。






「君が魔法少女になった男で間違いないかい?」


「そう、なりますね」


「そうか、それじゃあ案内するからついてきてれ」


「はい」




 待っていると先ほどの魔法少女とは別のスーツを軽く着崩した女性がやってきた、その女性についていき建物の奥にある部屋に案内してくれた、道中も女性しかいなくて鋭い視線がつらい。


 奥に行くほどに人が少なくなり、本当に大丈夫かと心配になってしまう。




「ごめんねー居心地悪かったでしょう?」


「まぁ、はい」


「それじゃあ私の事を簡単に説明しようか」


 女性が机からフルカラーのパンフレットのような資料を取り出して見せながら説明を始める。




「あ、コレはこの世界のだから……、まずは私の事ね、私の名前はユウキ・アーノイド、この世界の魔法局に出向みたないな感じで働いてます」


「この世界ですか、この国ではなくて?」


「そうだよ、この世界とは別の日本からやってきました、ここでの主な仕事は魔法少女じゃ処理できない敵、例えば宇宙からやってきた巨大怪獣とか異次元侵略宇宙人とかいきなり現れた秘密結社とか何故が玩具でしか戦えない敵とかに対処したり……、あとはイレギュラー対応、例えば本来なら女の子にしかなれないハズの魔法少女に男がなれてしまった時の対応とかね」


「めちゃくちゃ手広いんですね……」


「といってもさっき上げたような脅威はまだ1回しか来た事ないし、ここ最近は暇してたから丁度良かったかな」


「なんか、大変ですね」


「まぁそうだね、じゃあとりあえずこの世界魔法少女について説明するね、まずは基本的に魔法少女は思春期の女の子しかなれない、一応魔法少女になってしまえば妖精と正式に魔法少女を辞退しない限り魔法少女を続ける事ができるみたいだね」


「それじゃあ自分は早々に辞退すれば……」


「できそうかい?」




 アーノイドさんが妖精の方に視線を向ける。




「できないのだ、契約したのは確かにボクなんだけど、何故か辞退ができないし一定の距離から離れる事もできないのだ……」


「ふむ……、かなり特異な状態になっているみたいだね」


「何とかならないんでしょうか?」


「そうだね、無い事はないかな」


「本当ですか?!」


「本当なのだ?!」


「でもまぁ今すぐは無理だね、コレだけは断言できる」


「今は、ですか?」


「そう、そもそもこの世界で魔法少女が使う魔法って何だと思う?」


「うーん、思い、とかですか?」


「うん、一応正解、正確にはよくわかってないけど簡単に言語化するなら思いで良いと思うんだよねぇ、つまり魔法はなんでもできる、なんでもね、とりあえず君が魔法少女として成長して強くなれば魔法少女を辞退する事もできるだろうね」


「じゃあしばらくこのままという感じですかね」


「そうなるね、それじゃあ魔法少女になった義務というか仕事の説明をしようか、といってもいつ現れるか分からない魔物とか討伐する仕事だね」




 改めてパンフレットを広げてこちらに見せてくる。




「ずっと拘束される感じですかね?」


「それだと息苦しいだろう、交代制だよ2日間位は配備された地区で数人で待機、あぁ待機中はすぐに動ける状態であれば何をしててもいいからね」


「そこは緩いんですね」


「まぁね、女の子はある程度自由にしないとね、だから君も待機中は家でゆっくるするなり自由に買い物するなりしてて良いからね」


「あ、魔法少女として活動するのは強制なんですね」


「人員不足だからねぇ、ちゃんと魔法少女の活動をサポートするしちゃんと給料も出るからね」


「ちなみに魔法少女の活動を断ったらどうなるんです?」


「そうだね、表向きに犯罪者として拘束かな、国としては犯罪に悪用されかねないからね、個別に判断がつかないから一括で管理したいんだろうね」


「なんかディストピア感ありますね」


「そうかい、社会保険とかで個人番号で管理してたりしてるからそんな変わりないよ」


「確かに言われてみれば、……魔法少女の仕事は引き受けますよ、犯罪者にはなりたくないので……」


「それは良かった」




 こうして自分は魔法少女として活動することになってしまった。

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