第13話 外堀は既に埋まっていたってマ?
「はい。あらっちゃんの好きなから揚げ! ナスのおひたしも好きだよね? どうぞ食べて食べて〜?」
「お、おうよ。俺の好物よく知ってんな。ありがとう、果林……」
満面の笑みの果林に、取り分けた食事で山盛りになった皿を差し出され、ぎこちなく受け取った。
普段は、マネージャーとして、食事や飲み物お菓子などは果林の好きなものを用意するよう気を配っていた俺だが、今日は逆に気遣われてしまい、戸惑ってしまう。
「(おっ。果林ちゃん、早速良妻ムーブですよ〜)」
「(小松崎さんの慣れてない感じが、また初々しくていいですな〜)」
ルミナス☆ミのアヤと舞弓にニヨニヨヒソヒソされ、余計に気まずかったが、果林は全く気にせず、嬉しそうに笑った。
「ふふ。あらっちゃん。マネージャーの俺の事は気遣わなくていいから! なんて言って、今まで何もさせてもらえなかったけど、これからは未来の嫁として、あらっちゃんに尽くしていくからね? 今度、料理の腕前も披露してあげる!」
「へっ! 果林が料理? いつの間にそんな事出来るようになったんだ?」
5年前に料理番組に出た時は、炊飯器の使い方すら知らず、普段料理などしない俺に包丁の使い方を教わっていたあの果林が、その方面で成長を遂げているらしい事に、俺はえらく驚いた。
「あらっちゃんママに教わったんだよん。お家の味教えといてってママに頼み込んだんだ〜! うししっ!」
してやったりの笑顔に、俺は目を見開く。
「ああ! そう言えば、お前、ウチの実家によく遊びに来てるもんなっ……」
出会った当時、果林はひどい家庭環境に置かれていた為、果林の親からうちの母親に監護補助者を任されていた。
それ故、果林は家族の一員のように実家にも頻繁に出入りがあり、その間に料理を習っていたものらしかった。
「ハハッ。既に家族との顔合わせも済み、花嫁修行も履修済みとは! 果林、随分早くから外堀埋めてたんだな!」
「果林さんの行動力は、29歳にして未だに独身の私も見習いたいものです!」
「「きゃ〜! 果林ちゃん、策士〜!」」
社長に混ぜっ返すように言われ、佐々木さんに真剣な目で拳を握り、アヤと舞弓は二人で手を取り合い、盛り上がっていた。
「まぁ、新の方はいいけどよ。果林の親にもこうなった事をちゃんと報告した方がいいぜ?」
「! そうですね……」
社長に諭され、果林と同じ金髪と青い目の美形の男性の姿が思い浮かんだ。
そうだ。今は、再婚後の家族と英国に住んでいる果林の父は、俺がマネージャーとして信用して果林を託してくれたんだ。
それなのに、告白番組で、後に引けない状態だったので、果林と婚約したなんて、どう説明すりゃ納得してもらえるんだ?
しかし、俺の悩みは果林の次の発言であっさりと解決した。
「ああ、ウチのお父さんには、大体の事情は話していたし、あらっちゃんの事はもともと気に入ってるから、問題ナッシングだよ?」
「え。そうなのか?」
「ん! 帰国した時、会って食事に付き合ってくれればおけ!」
「そ、そうか。それならよかった……」
果林は手でOKマークを作ってそう言ってくれ、取り敢えず果林の父さんに殴られる事はなさそうはなさそうだと分かり、ホッとした。
「なら、そっちも解決っと! 後は、ウチの事務所からなる早で公式コメント出して、記者会見も開かなきゃな。新、しばらく忙しくなるから覚悟しろよ〜?」
「うっ。は、はいっ……!」
社長にそう言われ、普段のマネージャー業務に加えて、果林との婚約によるマスコミ対策、記者会見の準備が加わり、しばらく、眠れない日が続きそうだと、俺は苦笑いしたのだった。
✽あとがき✽
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