スキル

石に触れた瞬間文字が表示される。

「すべての才能ナシ」

「えっ」


この人物テレンという少年は全く才能というのがなかったのだ。

剣の才能 魔法の才能 他諸々すべての才能がなかったのである。


「うそやん」


その現実を慎一郎は受け入れられなかった。


「早くしないろ食べちゃうわよー」

「は、はーい」


食卓の方へ足早に進む。


(あんなの嘘だろ。どうせ不良品だ)


慎一郎をそう信じた。



 その5年後、慎一郎は10歳になり礼儀正しく近所の人たちからも、リーサの家の子はとてもいい子だと定着している。顔も慎一郎の弟にどんどん似てきている。


 この世界では10歳になると儀式が行われる。どのような才能があるかどうかの儀式だ。

 リーサは5年前慎一郎が触れ嘘だと言った石を持ってくる。


(嫌だこんなの触りたく無い、、、)

「絶対魔法の才能がある!毎週3回はレッスンをしてるんだからな!

「案外そうでも無いかもしれないよ」


そう暗く慎一郎は言った。そして石に触れる。昔出た結果と同じである。

リーサ、カイはテレンを慰めるもその声は届いていない。だが一つの言葉だけよく耳に聞こえた。


「大丈夫だ。才能がなくても“努力”をすれば…」


努力。今の慎一郎が一番聞きたくなかった言葉だった。


「ごめん。部屋、戻るね」


慎一郎は足早に部屋へ戻った。

落ち込んだ慎一郎は深い眠りについた。


「こんちわ」


夢で誰かが話しかけてくる。


「うるさい」

「もう、素っ気ないな〜。もうちょいいい感じの返事はないの〜?」

「うるさい!」

「わわ!怒ちゃった!」


 そううざい感じで語りかけてくるのは、キノコの髪型をした身長が170cmくらいの顔がない 神様? が目の前に立っていた。


「やぁ僕は神。そして君を異世界へ行かせたのはこの僕だよ。前世の君全部見てたよ。いい性格してるね」

「そんなクズに朗報〜」

「何」

「なんとスキルを上げちゃいま〜す」

「マジで!」


この世界はスキルを持っているものは珍しい。


「本で見た。スキルは10万人に1人しかないって!そのスキルのことか!?」

「ああ」


慎一郎は歓喜した。

さっきまで石に触れ才能がないとまた実感した慎一郎だが、スキルがあれば別、一発逆転のチャンスなのだ。


「そして今そのスキルをルーレットで決めちゃいます!」

「俺が決めれるとかじゃぁないの?」

「そんなものはない」


目の前のルーレットが回り始める。


「あの魔力無限とか、賢者とか剣聖とかも面白そう!」


ルーレットが止まる。

止まったのは、


”ノンストップ“

「は?何これ?」

「お、いい感じのやつじゃないか」

「な〜んか微妙そう。もう一回回せたりしない?」

「無理やね。お疲れやね。もう一回回せるとかバカじゃないの?」


慎一郎はこの神をうざいクソキノコ野郎と思った。


「このスキルは限界がない、まぁつまり成長に行き止まりがないってやつ。努力を続ければ世界一いや宇宙一強くなれるかもね!」

「嫌なんだけど」

「まぁスタートは誰よりも遅いけどね!君すべてに才能ないし」


慎一郎は心底呆れた。前世でもう無駄な努力はしないと誓っていたのだ。


「じゃあ今世を楽しんでね。慎一郎くん」

「そういえば、名前」

「ああ、名前ね!名前はうーん、トモと言ってくれ。君の友だからな!」

「?」

(誰がお前みたいなやつと友達になるかよ!)


 そして目が覚めた。

慎一郎の気分は最悪だった。

石の判定で才能はないし、あのうざったるい神?との会話で気分は下がり、スキルも自分の思うようなスキルじゃない。

 気づけばもう、外が暗くなっている。リーサやカイは気を使って起こさなかったのだろう。

 慎一郎は明日が迎えるのをすごく嫌に感じていた。また同じ運命を辿るのかと。

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