第3話 EYE:CODE

その瞬間、館内に再び電子音が響いた。


《注意。第一回“EYE:CODE(アイコード)”を開始します。》


参加者たちが一斉に顔を上げた。


《このイベントでは、ある参加者の“嘘”に関するヒントがランダムに開示されます。》


《ヒントをもとに、誰が・どんな嘘をついているのかを推理・暴露しても構いません。》


《ただし、暴露に失敗すれば、自身の嘘の“断片”が公開されます。》


ピンと張り詰めた空気が、館全体を包む。


エマは無言のまま、蓮の隣で仮面を傾けた。


(これが、“EYE:CODE”……?)


蓮の胸が不穏に脈打つ。

情報の暴露は、命の暴露だ。

この空間では、真実よりも“演出”が命を救う。


《今回開示される嘘のヒントは――》


《“本当は、死んだはずだった”》


ざわっ。


一気にざわつく参加者たち。


「……誰のことだ?」

「死んだはず……? どういう意味……?」


蓮の脳内では、すでに推理が始まっていた。


(死んだ“はず”って……つまり、生きてる理由が不自然な誰かがいる……?)


そのとき。


「……私じゃないわよ?」


声を発したのは、参加者の一人――咲良 美音(さくら みおん)。

黒髪ロングに整った顔立ち。

蓮も知っている、有名な国民的アイドルだった。


だが、その目は……どこか冷たい。


「言っとくけど、あたし、誰にも恨まれてないし、命狙われたこともないから」


「ふふ、あれ? さっきと口調が違うね」


別の参加者がそう指摘すると、美音はにやりと笑った。


「……あたしには、ちょっと“演技”に自信があってね?」


(演技……?)


蓮の脳裏に、エマの言葉がよみがえる。


――“嘘”は階層構造。

表層を暴いても死なない。

核心まで届いて、初めて命が奪える。


「……あいつ、嘘を使い慣れてる」


蓮は思わずそう呟いていた。


だが、そのとき――


《残り5分以内に、“誰かの嘘”を暴露する権利があります。》


《暴露する場合は、ジャッジへ指名と内容を提示してください。》


一人の手が、静かに挙がる。


それは、黒いスーツに身を包んだ男――二階堂 鷹矢(にかいどう たかや)。


「なら、ゲームらしくいこうか」


仮面のような微笑みを浮かべながら、男は言った。


「俺の推理は、“彼女は死ぬはずだった”……そして、誰かに生かされた。

つまり、この中に“加害者”がいるってことだ」


(続く)

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