第3話  始まりの日

翌日の朝、天気は快晴。そして、新鮮な空気。

いい目覚めだ。今日は特に用事はないので、シェルトの家に遊びに行くとするか。

見慣れた道を歩いて、シェルトの家に行く。 

やはり、昨日と同様人気のすくない。何かあったのだろうか。

そんな事を考えながら道を歩いていたら、シェルトの家に着いた。

ドアをノックする。


「いるかー シェルト。遊びに来たぞ。」


返事はない。

急に尋ねたため、家にいなくてもおかしくはない。

暫く時間をあけるか。





2時間が経過した。流石に家にはいるだろう。


「ごめんくださ。シェルトいるかー」


またしても返事がない。時間帯的には今は昼ぐらいなんだが。

おかしい。この辺りでは農業が主流のため、出稼ぎといったことはないはずなのにこうも家開けるのは流石におかしい。そもそも農業なら自分の家周辺でやるもんだしな。

また、ここら一帯は山に囲まれているため遠くには行かないはずだ。

何かあったのか。僕は妙な胸騒ぎがした。

そして、昨日の出来事を思い出した。そんな訳無いよな。

そう自分に言い聞かせながら、扉を開けることにした。


「勝手に開けるが、すまん」


恐る恐る扉に手をかけ、扉を開ける。

目の前には、背中を向け、椅子に座っているシェルトがいた。


「なんだ。居るじゃないか。居るなら返事ぐらいしろよな」


安堵の声を上げながら、シェルトの右肩に軽く手を置いた。

違和感。

シェルトの反応が無いのだ。普通後ろから肩を触られたら、何か反応をするものだろう。

それが無かったのだ。再び、脳裏に昨日の出来事が思い浮かぶ。

そんな訳がない。あるはずが無い。自分に再度強く言い聞かせながら、シェルトの真正面に立つ。

その瞬間、息を呑んだ。 

シェルトは死んでいたのだ。

首に小型のナイフが刺さっていた。

僕は、何が起きているのか理解出来なかった。理解したく無かった。理解しようともシェルトとの思い出がそれを邪魔するのだ。シェルトとは長い付き合いだった。僕の唯一の友だった。





何時間経過しただろうか。僕はシェルトの前に座り込んでいた。涙も流した。いくら時間が経ってもシェルトが戻ってこないと実感した。

本当に死んだのだ。もし僕が治癒魔法を使えたならこの結果も変わっていたかも知れない。

だが、いくら後悔しても時間が戻ることなはない。治癒魔法が使えるようにはならない。

この残酷な結果だけが残っている。


僕はシェルトの墓を作った。

シェルトは首をナイフで刺されて殺された。多分、一瞬の出来事だったのだろう。

家の中に争った形跡がないからだ。昨日の露天商を殺した犯人と同一人物なのかは分からない。だけど、親友が殺されて黙って見ているだけなんて僕は出来ない。僕は腹の底から怒りがこみ上げてきた。多分、人生でこれほどまで感情が昂ったのは初めてだ。

僕は決心した。

犯人を絶対に見つけ出して殺してみせると。

犯人の見当は全く付いてはないが、ここに居ても埒が明かない。

また、村のことも家族も心配だ。立て続けに人が殺されている。

自分たちだけが安全ということは無いのだから。





          ◇


僕は村に帰ってきて、絶句した。

村が跡形もなく、壊されていた。何者かによって蹂躙された痕跡が至るところにあった。

大半の家は全壊し、土地が焼き焦げ、腐敗臭が漂っている。死体が転がってる。

その中に僕の両親もいた。

僕はこの現状を理解出来なかった。何も考えられなかった。

僕に出来たことは、ただただ立ち尽くす事だけだった。

僕はこの日全てを失った。









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