殺人鬼が町に現れた
第2話 天使みたいな七姉妹と穢れた俺
俺ならできる……俺ならできる……。
そう決心し、本日も行動に移す。
学校の中庭。
プランターと鉢植えの並ぶ、いかにもな場所だ。
白、赤、青、緑、黄、橙、桃――などなど、色とりどりの花々が嬉しそうに風に揺られている。
そしてこの区画の中心には、一本の木がそびえ立っている。
大きな、大きな、スダジイの木が。
その木の下のベンチで、楽しそうに談笑する七人の美少女。
この春から
凸する前に、まずは俺があの手この手でかき集めた、彼女たちの『
------長女------
名前:
クラス:三年一組
誕生日:4月1日
趣味:裁縫、料理
好きなもの:食べること
簡単なプロフ:
四つ子と三つ子を合わせた『七姉妹』という特殊な家庭環境で一人だけ『三年生』という、ある意味、特別な存在。
一人だけ、一日だけ誕生日がずれてしまったのだという。
非常に落ち着いた雰囲気のある、おおらかな女性で、ハーフアップに編み込まれた黒髪には白のカチューシャが添えられている。
豊満な胸が、黒のブレザーと第一ボタンまで閉じられたブラウスによって強調され、二重の意味で厳格そう。
プリーツスカートも規定通りの長さだ。
ネクタイの結び目も首元まで上がり、校則をしっかりと守っている。
その厳格さに加えて、おっとりとした目許と泣きぼくろが、他の姉妹にはない魅力を醸し出している。
------次女------
名前:
クラス:二年二組(同級生)
誕生日:4月2日
趣味:格闘ゲーム、格闘技
好きなもの:不良マンガ
簡単なプロフ:
姉妹の中で唯一『不良』っぽい出で立ちをしており、運動神経はずば抜けて優秀。成績は低空飛行だがコミュニケーション能力に秀でている。
ワインレッドに染め上げた髪をゴールデンポニーテールにして、左耳に三つピアスをつけている。
姉とは対照的にブラウスのボタンは二つ開けて、ネクタイも緩い。
スカートの丈は超ミニで、パンツが見えそう。
グレーのスクールセーターを腰に巻いている。
特徴的なのは爬虫類っぽい目つきとちろりと覗く八重歯で、無邪気そうな笑みから漂う危険な香りが、他の姉妹にない魅力となっている。
------三女------
名前:
クラス:二年三組(同じクラス)
誕生日:4月2日
趣味:FPS
好きなもの:動物
簡単なプロフ:
無口、無表情という『クール』な印象だが、学校で飼っているインコのおしゃべりに付き合ってあげたり甲斐甲斐しく世話を焼いている優しい一面もある。
青みがかった髪をショートボブにして、前髪は斜めに流している。
次女同様にブレザーは着用しておらず『水色のカーディガン』を羽織っており、スカートは膝下まで丈を落として黒のニーソックスで締めている。
大人びた雰囲気と小学生みたいに幼い顔つき、そして、その低身長に似合わぬ巨乳が、他の姉妹にない魅力となっている。
------四女------
名前:
クラス:二年八組(特進クラス)
誕生日:4月2日
趣味:実験
好きなもの:カフェイン
簡単なプロフ:
IQ140以上の『天才的』な頭脳を持ち、医学の知識まで豊富に持ち合わせた才女。
趣味は実験で、化学室の薬品の匂いを嗅ぎながらコーヒーを飲んでいるのが至福の時間らしい。
ウェーブのかかったダークブラウンの長髪は、毛先を軽く巻いたロング。
ブレザーの上からくるぶしまである『白衣』を羽織り、黒のレギンスを穿いている。
メガネがトレンドマークで、レンズ越しの理知的で凛々しい目許が、他の姉妹にない魅力となっている。
ここまでが四つ子で、ここからは三つ子の紹介になる。
みんな合わせて七姉妹、というわけである。
------五女------
名前:
クラス:一年三組
誕生日:7月7日
趣味:ネイル
好きなもの:ショート鑑賞
簡単なプロフ:
いわゆる『ギャル』っぽい感じの子で、次女のかがりさんと一緒に校内をうろついているのをよく見掛ける。
俺は心の中で胸チラコンビと呼んでいる。
さらさらの金髪ロングストレートで、肌は抜けるように白く、次女と同じくメイクはばっちり。
制服もシャツのボタンは常に二つ開け、スカート丈も短い。
ピンクのカーディガンを腰に巻いて、黒のニーソックスを履いている。
両手でピースサインを作って、いつもはしゃいでいる元気な姿が、他の姉妹にない魅力となっている。
------六女------
名前:
クラス:一年四組
誕生日:7月7日
趣味:お菓子作り
好きなもの:可愛いもの
簡単なプロフ:
よく男子生徒にちょっかいをかけてる『あざとさ』全開の、小悪魔的な性格の下級生。
ただ、男の方から迫ると途端に白けた態度をとるらしく、告白して玉砕する男子が続出とのこと。
明るい茶髪のセミロングを前上がりボブにし、毛先を内側に軽く巻いている。
ベージュのニットカーディガンを『萌え袖』にし、黒のスカートを短く穿いて、靴下はキャラ物のスリークォータース。
もじもじと指遊びしながら上目づかいで男子におねだりする、あざとい一面が、他の姉妹にない魅力となっている。
------末女------
名前:
クラス:一年二組
誕生日:7月7日
趣味:弾き語り
好きなもの:音楽全般
簡単なプロフ:
五女、六女と三つ子なので当然この子も下級生。
登下校の際はギターケースを背負っており、授業中に歌詞をノートに書き留めている姿がよく目撃されるとのこと。
どことなく『ロック』を感じさせる子だ。
白のメッシュが入った髪をウルフカットにしており、耳にはイヤリング、首には常に『ヘッドホン』をぶら下げている。
ブレザーの中にプルオーバーパーカーを着込んで、スカートは短く、黒のタイツを穿いている。
常に眠そうな目許と猫背、気怠そうな雰囲気をまとう『ダウナー系』の仕草が、他の姉妹にない魅力となっている。
・・・
彼女たちは『天使』の生まれ変わりと崇められ、たちまちのうちに、在校生の間で神格化された。
だが、ここに。
そんな天使たちの聖域を穢そうとする、由々しき一人の男がいる。
う
お
お
お
お
お!
今日もやるぞ……い!
やってやるぞい!
バカが一人。
俺は意を決して、ベンチへと歩き出した。
「あ、あの俺、
全員の視線が俺に向く。
天使たちは一瞬ぽかん、とした表情を見せたあと。
さっ
――と。
身をひるがえし、その場から逃げるように走り去っていった。
俺は一人、中庭に取り残される。
ティックトックの早送り動画のような、一瞬のできごと。
「ふは……ははは……はははははは!!」
俺は大声で笑った。もうヤケだ……。
だが、やったぞ!
昨日は長女。
今日は次女がバイバイと手を振ってくれた。
去り際の一瞬、だけど。
それでも嬉しい。
俺は嬉しさのあまり、その場でぴょんぴょんと飛び跳ねる。
「よし、よーし!」
この調子で、どんどん声をかけていこう。
迷惑にならない程度に。
いやホント。
心が浄化されていく。
七姉妹の清らかなオーラが、穢れたオーラを中和してくれてるみたいだ。
ちなみに俺のスペックはというと……
黒髪で中肉中背、勉強も運動も平均的。
友達の数もまあそこそこ(おもに男子のみ)。
女子からは嫌われている……当たり前。
うん、、、どこにでもいる、ごく平凡な男子高校生だ。
そんな俺がなぜ天使たちを狙うのか?
理由はシンプルだ。
そんなもの、よこしまな欲望に決まっている。
美少女と仲良くなりたい。
いつだって俺という男の『本能』は、どす黒く穢れているのさ。
★あとがき
ここまでお読みいただきありがとうございます。
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