第27話 まだまだ未熟

「ついでに【空間支配】の練習もしておきたいな」

『そうですね……練習しておきましょうか。最初はサーベルを使うやり方にしますか』

「ん、オッケ~」

『ではサーベルを機関銃に接続し、疑似三連魔核レプリ-デルタコアを起動してください』


指示通りに機関銃にサーベルを取り付け、疑似三連魔核レプリ-デルタコアを起動する。

独特な駆動音と共に刀身が発光し始めた。


『いい感じですね。そのまま前方に向けてください』

「じゃあ、目標はさっきのバター岩で」

『わ、わかりました(バター岩?)』


先ほどサーベルの実験台となってもらった岩に照準を合わせる。


『それでは魔力の制御の応用で【空間支配】を使って歪みを輪の形状で発生させてください』

「ちょ、いきなりとんでもない事させようとしてない!?」

『大丈夫です。意外と簡単ですので』

「そういう問題じゃないんよ……」


そんなうまくいくわけ……


「あ、できた」

『でしょう?』

「なんか腹立つ……」


取り付けたサーベルを覆う感じで歪みを発生させることができた。

案外うまくいくもんだなぁ……。


『では疑似三連魔核レプリ‐デルタコアの共鳴を発生させてバーストさせてください』

「え、大丈夫なのそれ」

『はい、まったく問題ありません』

「へぇー」


魔力を機関銃の魔核コアに流し込むと、共鳴が始まった。

刀身が赤く輝いている。


『そのまま魔力を放出してみてください』

「了解!」


すると、構えていた方向に空間の歪みがきれいに真っすぐ放射され、

トンネルのようなものができた。

このトンネルの中は塵などが完全に静止している。


「えーっと、説明ヨロシク」

『一言で言ったら空間固定といったところですね。数秒間範囲内の物体をその場に固定します』

「もしかしてこれ、固定した後この銃で撃ち抜くってコト!?」

『そういうことです』

「うわぁ……」


思ってたよりも凶悪だった。

数秒間こっちから一方的に攻撃できるってことじゃん。


『ちなみにサーベルや機関銃を使わなくても似たようなことはできます。

 ですがこちらの方が楽ですし、エネルギー効率がいいのでおすすめです』

「あ、そうなんだね。てっきりこれ専用かと思ってたよ」

『半分専用みたいなものですがね。ですが、使い勝手は悪いです』

「まあ、そりゃあね……」


起動までの時間がさすがにかかりすぎるからね。

使いどころはあまりなさそうだ。


「そのほかはなにかない?」

『今教えられるのはないですね……。

 できるかわからないですが空間断絶斬でもやってみます?』

「え、なにそれカッコイイ」

『一言で表すと空間ごと対象を切り裂く攻撃です。まあ、防御不能ですね』

「やりましょう」


こんなチート攻撃覚えるしかないじゃん!

フハハハハハ!これで私が最強だ!!


『……ではサーベルを取り外し、機関銃をは≪次元収納≫に入れておいてください』

「ん、できたよ」

『それでは先ほどのように【空間支配】でサーベルの周りに歪みを作ってください』

「今回は私の三連魔核デルタコアを使うの?」

『いえ、魔力は必要ないので使いません。使用するのは【空間支配】のみです』

「あとはどうすればいいの?」

『あとはサーベルを振るだけです』

「え、これだけ?」


思っていたよりも簡単そう。


『あとイメージが大切ですね。例えるなら……ファスナーを開いていくような感じですね』

「あー、なんとなくわかった」


ではさっそく。

いきますか!


「せいっ!」

『っ!危ないっ!』


勢いよく振り下ろすと、いきなり空間の歪みが膨れ上がった。

咄嗟にサーベルを投げたことでなんとか怪我はしないで済んだのだが……。


「うわぁ、これはひどい」

『本当に危なかったですね』


投げた先の地面が綺麗に半径3メートルくらい円形に削れていて、

その中にサーベルが突き刺さっていた。


「いったい何が起こったの……?」

『暴走し、空間を削り取ったのかと。まだマスターには扱いきれなさそうですね……』

「制御できていないって感じ?」

『はい。その通りです』

「地道に簡単なことから練習していこうか……」

『ですね……。すみません、危険すぎましたね』

「ま、無事だったし大丈夫だよ。サーベルも無傷だし」

『そうですね。では帰りましょうか………っ!?』


ん?アイさんどうしたんだ?






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