第23話 襲撃

「さーて、帰りますか」


アイさんに魔法陣をお願いしようとした瞬間、


『マスター危ない‼︎』

「⁉︎」


天井を破壊して何かが降ってきた。

そしてそのまま、剣で攻撃してくる。


「誰だお前!」

「……………」


咄嗟にサーベルを取り出し、受け止めることができた。


「質問に答えろ!」


そう叫びながら連装プラズマ粒子収束砲を放つ。

しかし、うまくかわされ距離を取られる。

少し離れたことで相手の姿をみることができた。


「コイツ……天使なのか?」

「…………」


白を基調としたドレスのような服、長い金髪、そして純白の翼。

まさに天使といった見た目をしている。


「なんなんだよ……」

『マスター、彼女瞳に光がありません。……洗脳かもしれないです』

「洗脳?!ってうわぁ!」


また剣で切りかかってきた。

距離をとり、機関銃で応戦する。しかし…


「くっそ、硬いな!」


ダメージは通っている……と思うのだがひるまず突っ込んでくる。


「……!」

「くっ」


相手の剣を銃身で受け止める。とてつもなく重い攻撃で、一瞬よろけてしまう。

その瞬間を相手は見逃さなかった。

蹴とばされ、壁に衝突した。


「はぁ、またこのパターンか……イテテ」


最近殴られすぎじゃない?

とりあえず何とかしないと……。


謎の天使はゆっくりとこっちに歩み寄ってきている。

どうやら動かないでいるから油断しているようだ。


「ねえアイさん、使ってみていい?」

『いいですけど……まだ実証実験もできていませんよ』

「なら今実験すればいい」

『…わかりました。タイミングはそちらに合わせます』


やつはこっちに向かって真っすぐ歩いてきている。これは好都合だ。狙いやすい。

あと4メートル、3メートル、2メートル……


「いまだ!」

『了解!』


合図をした瞬間、天使の前方の足元に穴が開き、

そこから超スピードの小型ミサイルが飛んできた。

天使はこの不意打ちに反応できず直撃し、爆発した。


彼女が放ったこの小型ミサイルは並行世界パラレルワールドで発射されたものだ。

発射されたミサイルを穴に通し、こちらの世界にもってくるのだ。

彼女を中心に半径5メートル以内にしかこの穴は展開できないが、角度や数は特に制限がない。

今回の場合、天使をこの5メートルギリギリまでひきつけ、不意打ちをしたのである。


「やったか⁉」

『やめてください。フラグですよそれ』

「しかし危なかったな……。もう大丈夫そう?」

『はい。かなりのダメージが入ったはずです』

「そっか~……⁉あいつまだ立ってるよ!」

『⁉』


砂煙が晴れるとそこにはボロボロになりながら2本の足で立っている天使の姿があった。

それでもかなりのダメージが入ったようでふらふらしている。

そしてどこからか丸いボールのようなものを取り出し、地面に投げつける。

ボールは地面に付いた瞬間破裂し、大量の煙をまき散らした。


「……!!ゴホッゴホッ、煙幕か⁉」

『………逃げられましたね』


煙が晴れると地面に描かれた魔法陣が消えた瞬間だった。


「転移の魔法陣……」

『…転移先の特定に失敗しました』

「あ、転移先って特定できるんだ」

『はい。魔法陣の解読ができたら、ですが。

 今回は消えた瞬間だったので何も分かりませんでした』

「いったい何だったんだろうね……」


正直あのミサイルを耐えられたことに驚いてる。

だってあれ弾頭に簡易的な核爆弾仕込んでるもん。

環境汚染のほとんどない超低火力とはいえ、とんでもない攻撃力あるはずなんだけど。


『だから言ったんですよ。そんなもの仕込んでも何も変わらないと』

「えー!いいじゃん別に。ロマンだよロマン」

『……はぁ』

「それよりもさ。あいつ何者?」

『詳しいことは分かりませんが……少なくとも大天使級ですね』

「大天使……か」


一体何がしたかったんだろう。何か目的があるのか?


『あくまで推測ですが……マスターの力量を見極めるためかもしれません』

「見極める?あいつを洗脳していた犯人が?」

『はい。確証はありませんが』


……いろいろ警戒したほうがよさそうだね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る