第一章

第1話 転生

「魔力値安定、敵性反応なし。迷宮暴走スタンピードの鎮圧を確認。任務完了…!」

『お疲れ様です、マスター』

「アイもお疲れ様」

 

本日2回目の迷宮暴走スタンピードの鎮圧。最近は本当に仕事が多い。

寝る暇さえない。まあ寝なくても大丈夫なんだけど。


「早く帰ろう……」


いったいなぜこうなったのか、少し前にさかのぼる…


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

僕はただの学生である!

ようやく長かった高校受験が終わり、卒業式も終え、春休みを満喫していた。

ある日のこと、やることもないので家でぐーたらしていたら

突然床が大きく揺れた。おっと地震かと思った瞬間、視界が突然暗くなった。


「うわぁ、なんだぁ!?」


驚いた瞬間、急に視界が開けた。

そこは白い覆われた壁で覆われた広い部屋のような場所だった。


「ここは一体…?」


 周りを見渡しているとだれかがこっちに全力疾走で向かってきている!


「ほんっとうにぃぃぃぃぃぃ」

「え、ちょ…なに!?」

「もぉぉしわけありませんでしたぁぁぁぁ‼」 ズザーーーー


 うわあああ!謎のお姉さんがスライディング土下座を決めてきたーーーー!?


「本当に申し訳ない…!」

「ちょっと待ってください!いったいどういうことですか?」

「あなたを殺してしまった…!」

「ゑ?」


 話を聞いてみるとここは神界という場所で、死んだ僕の魂を

 無理やり神界に持ってきたらしい。彼女はそこに住んでいる

 神の一人だそうで。


「私のことは好きにお呼びください」


 ほかにも神はいるらしいので、とりあえず一人目だから…

『アルファ』と呼ぶことにしよう。そうしよう。


「アルファ…ですか。わかりました」

「うわぁ!心読めるんですか!?」

「はい。神ですから」


 すごい説得力。便利だな、羨ましい。


「ゴホン。実はこの世界にバグが発生してしまいまして。

 その影響であなたは間違って死んでしまったのです」

「そのバグというのはいったい?」

「じつは、あなたのいた世界に突然ダンジョンが発生したんです」

「ダンジョン?」

「はい。あの魔物とかが出てくる迷宮のダンジョンです」

「それと僕の死との関係はあるんですか?」

「それがなかなか複雑で…そのバグが発生した際、

 ほかの神々とバグを取り除こうとしていたとき巻き込んでしまったようです。」

「取り除こうとしていたということは…」

「だめでした。ダンジョンは世界各地に発生してしまいました。

 幸い、数はそこまで多くありませんでしたが、かなり危険な状態でして」


 アルファさんが言うにはダンジョンは暴走する危険性があるらしい。

 魔物が大量発生したり、強くなりすぎたり、外にあふれ出したり。

 放置していたら大変なことになるそうで。


「というわけであなたにダンジョンの管理をしてほしいのです」

「えぇぇぇぇぇぇ!?」

「もちろん、ただでとは言いません。様々な能力等をつけさせていただきます」

「はあ」

「まず、ダンジョンに与する生物に転生することになるのですが、あなたは

 神の使徒という扱いになるので天使になります。が、それではダンジョンに

 与する生物ではないため、天使と悪魔のハーフとさせていただきます」

「待ってください、天使と悪魔のハーフとか存在するんですか!?」

「しますよ。堕天使とも言います」


 マジか・・・


「そうですね…種族名は魔天使にしましょうか」


 聞いてないよこの人。いや、人じゃなくて神か。


「さて、どんな能力が欲しいですか?」

「え、そんないきなり言われても…」


 能力か…何にも考えてなかったな。


「そんなこともあろうかとあらかじめある程度準備しておきました」


 そう言ってアルファさんは分厚いファイルを取り出した。


「詳しいことはここに書いてあります」

「はあ、ありがとうございます」


 アルファさんからファイルを受け取った。


「では今からダンジョンへ送ります。詳しいことは専用のAIをつけるので

 そちらに聞いてください。では、頑張って下さい」


 その瞬間、僕は再び光に包まれた。

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