第8話 繰り返す月曜日

 目覚ましのベルが鳴り響く。


 男は布団から起き上がり、カーテンを開けた。曇り空。時計は午前7時を指している。


「……また、月曜日か」


 もう何度目だろう。同じ日が、何度も繰り返されている。


 最初はただのデジャヴかと思った。しかし、二度、三度と繰り返されるうちに、これは異常事態だと気づいた。


 朝食のトーストの焼ける匂い。ニュースキャスターが伝える見慣れた天気予報。「今日も関東地方は午後から雨でしょう」。会社へ向かう道すがら、信号待ちの間に見かける子供の転倒。


 すべてが、まったく同じ。


 男は試した。違う道を通る。仕事をサボる。誰かにこの異常を訴える。


 しかし、夜が更けて眠りにつくと、また同じ月曜日が始まるのだった。


 なぜ、自分だけがこの時間の牢獄に囚われているのか。


 答えを探すため、男は日々の行動を記録し、わずかな変化を見逃さないよう努めた。やがて気づいたのは、一人の女性の存在だった。


 彼女は毎朝、同じ交差点で立ち止まり、空を見上げている。


 男が話しかけても、彼女は驚くことなく、穏やかに微笑んだ。


「気づいたのね」


 彼女の言葉に、男は息をのむ。


「この時間を繰り返しているのは、あなただけじゃない」


 なぜ、彼女はすべてを知っているのか。


 そして、この繰り返しにはどんな意味があるのか。


 男は、彼女の瞳の奥に答えを求めた。

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