7 保健室


朝、激痛で目覚めた。

昨日のシャトルランで無理をしたせいか。

いや、普段から運動してないからか、筋肉痛だ。

それも今まで史上の筋肉痛。


学校に行かないと。

痛みをこらえながら、やっとの思いで学校についた。

階段だ。足をあげるのにも一苦労。


「あ、平岡っち、おっはよー!なにしてるの?」


「あぁ、入野さん、おはよう。いや、その、筋肉痛で・・・。」


「あー、昨日のあれでか、大丈夫?肩貸そうか?」


「い、いや、それは恥ずかしいからいい。さすがに。」


「そっか!じゃ、教室で待ってるねー!」


「そんな簡単に上っていくなんて・・・。いたたたたっ。」



やっとの思いで教室についた。


「おっ、やっと来たなー!大丈夫そ?」


「これが大丈夫に見える?」


「大丈夫でしょ!男の子だし!」


「えぇー??なんじゃそりゃ。」


「あとで保健室行こ。シップ、貼ってもらおうよ。」


「あー、うん。よろしくー。」



お昼休みに保健室に行くことに。


「しっつれいしまーす!あれー、先生いない?」


「いないみたいだね。」


「そんじゃー、シップさっがそー!」

「そこらへん座っといてー。」


「僕も探すよ。自分のことだし。」


「いいよ。体痛いでしょー!」


「大丈夫だよ。これくらい。いててて・・・。」


「ほらー、痛いんじゃーん。座っててー。」


あ、やばい、足つりそう、足が絡まって。

「あ、あーーー!!」


「平岡っち!!」



転んでしまった。



「いててて。あれ、頭いたくない? い、入野さん!?」


とっさにだろう。入野さんが頭を支えてくれた。

それにしても。近い。顔が。やばい。鼓動が伝わる。その前に。なんとかしなくちゃ。

こんな間近で・・・入野さんの顔、きれいだ。

鼓動がだんだん早くなる。入野さんに伝わってしまう。


お互い見つめ合っていた。

数秒か数分か、わからないが。

その時間は、とても、とても長く感じた。


あのクリスマス以来、久々に目があった。

その吸い込まれそうなきれいな瞳。



「あ、あの、入野さん?ごめん。ありがと。頭かばってくれて。」


「あ、うん。あたしこそ。ごめん。」


「入野さん、手大丈夫?」


「うん、平気だよ。」


「ほんとに?ちゃんと見せて。」


「痛いとこない?ごめん、僕のせいで。」


「大丈夫だよ!気にしない~気にしない!」


「あ、シップあった!貼ろうか!」


「うん。」



その後、少し気まずい雰囲気が続いた。

僕の頭の中は、あの瞬間の映像を繰り返し、繰り返し流れていた。

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