追加問題③ 問3‐1【食糧泥棒III】

〈【食糧泥棒】を問2の方式に書き換え〉


 そのとき私は森を歩いていてね――ひとりぼっちでよ、だって私について来るのなんてあなたくらいのものだし、あなたってばその日は家でジャムを煮てたでしょ、だから話し相手もいなくて退屈してたってのはひとつあったわね――でも薬草は取りに行かなきゃいけないし、だけど薬草が生えてる湖はうちからすごく遠くって、だからもう何時間も何時間も歩いたみたいな気分で、そりゃホントはうちを出てから一時間も経ってなかったと思うけど、とにかく気分はくたくたって感じだったものでね、おなかが空いて動けなくなっちゃって、だから木の下の草むらに寝っ転がって休んでたら、誰かが来て、声からして二人の女の子たちって感じで、顔を上げてよく見てみたら二人はバスケットを持ってて、バスケットの中にはおいしそうなパンとワインが入ってて、まさに天の計らい、絶好のタイミング、私はするする木を登って、二人が木の下に来るまで待ち構えてね、ちょうどいい位置に来たなって思ったら、威勢よく木を揺らして二人の上に枝や葉っぱや毛虫を降らせたわけ、二人がカゴを放り投げて逃げ出すようにって思ってやったことだけど、ドンピシャで上手く行って、おかげでおいしいおやつにもありつけたし、力が湧いてきて湖まで薬草を取りに行けたし、こうして無事帰ってこれたしってことなんだけど、それでもちょうどいい話し相手が一緒に出掛けていて、歩きながら話せるふうだったら私もこんなことしなかったのよ、ジャムを煮てなんておらずにね、どう思う?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る