【短編】桜散る中--私は嘘を重ねる
月杜円香
第1話 嘘を重ねる私
「愛里、そろそろ僕たち二人だけで会わないか?」
桜庭君の口からこの言葉が出てくるのは、20回を超えた。
「だって亜美ちゃんたちは、私のことを心配してくれてるのよ」
私は、笑って受け流す。
桜庭君は、青い瞳を伏せながら首をふった。
「違う。こんなのデートにならないじゃないか。司馬も木崎も付き合ってないくせに暇だな!」
「そうね」
中等部からの友達の司馬君や木崎亜美ちゃんは、私のお守り役で今も何処にでもついてくる。
さすがに、女子大なので司馬君は、大学の中までは来れないけど、亜美ちゃんとは、大学も同じなのだ。
桜庭君とは、高一の文化祭の時に私から告白して、付き合うことになった。
そして、その時から四人デートが、始まった。
少し内気なところがある彼は、私の双子の姉が好きだった。
でも愛良には、高一の夏休みに彼が出来た。
彼の心の痛みを、私は知っている。桜庭君は、幼馴染みということでお姉ちゃんには、告白してなかったのだ。好きだったくせに。
司馬君と亜美ちゃんが付き合っているという事実はない。
でも、デートのたびに二人は何処かから予定を聞きつけ、私のお守りを始めてしまうのだ。
それが面白くないのだろう。
私は、というと、仕方がないないかなと思ってる。
だって、まともな学校生活が送れたのは間違えなく二人のお陰だし。二人が私のことをとても心配してくれてるのがよく分かってるから。
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