第21話:殲滅
「ヤレ、ゼンインデコロセ」
言葉を話せないと思っていたボスゴリラモンスターが言った。
人語を理解できないと思っていたゴリラモンスターたちが一斉に動いた。
生き残っていた護衛と近衛の両方が殺到してきた。
「やらせはせん、人類の神判は俺が達成してみせる、虎走」
八百鬼は神通力を得るために、見せる戦いを続けた。
苦戦しているように見せかけて、世界中から神通力を集める。
「デアエ、テキダ、デアエ」
ボスゴリラモンスターが叫ぶと、護衛と近衛が出現した。
ダンジョンのモンスターポップ時間を無視して出現した。
「視聴者の皆さん、観ていただいているでしょうか?
敵のボスが味方を呼び出してしまいました!
ダンジョンの自然な出現ではなく、味方を呼び集める能力です。
これではいつまでたっても勝てません、数の暴力で負けてしまいます。
護衛に守られているボスに斃すか、一瞬で全滅させないと負けてしまいます。
どうか八百鬼天を応援してやってください、祈ってやってください」
前田慶次がライブ配信を観ている人たちに言う。
多くの人たちが心から祈りを捧げ、莫大な神通力が八百鬼に集まる。
「八百鬼天のレベルが上がりました」
「八百鬼天のレベルが7になりました」
「八百鬼天のレベルが上がりました」
「八百鬼天のレベルが8になりました」
神通力が集まり神仏としての実力が上がったので、天のレベルが上がった。
八百鬼は集まった神通力をチャクラに貯めて温存する。
確実に勝てると判断したゴリラモンスターを斃して、レベル上げしようとした。
ボスの強さは確定していないが、護衛や近衛には確実に勝てると見切った。
「必殺、虎走」
「八百鬼のレベルが上がりました」
「八百鬼のレベルが114になりました」
「八百鬼のレベルが上がりました」
「八百鬼のレベルが115になりました」
何時の間にか八百鬼のレベルが爆上がりしていた。
神仏の天になった事に注目が集まり、閻魔大王の神判を受けている人としてのレベルアップが忘れ去られていた。
だが、これだけの強敵と戦っているのだから、当然莫大な経験値を得ている。
地獄や黄泉で鍛錬を繰り返した八百鬼に相応しいモンスターが現れているのだ。
そこそこの数を斃したらレベルアップするのは当然だった。
「デアエ、テキダ、デアエ」
八百鬼が虎走で斃したゴリラモンスターの数は253体。
それだけでなく、新たに400体のゴリラモンスターが出現した。
八百鬼にも、閻魔大王に色々言いたい事があったが、黙って飲み込んだ。
無限にゴリラモンスターが召喚できるスキルだけを考えたら、腹立たしい。
だが現実的に考えれば、レベルアップのための餌を与えられているも同然だ。
文句を言って、経験値を稼げるモンスターが出現しなくなる方が困る。
何より、八百鬼も死者を無限に召喚できるのだから、文句を言って無限死者召喚ができなくなる方が困る。
「視聴者の皆さん、またです、またモンスターが出現しました!
閻魔大王の神判とは言っても、これはやりすぎではないでしょうか?
もしかしたら、八百鬼天だけを神判しているのではないかもしれません。
応援しているみなさんの事も神判しているのかもしれません。
正しい信仰心を持っているのか、神判しているのかもしれません。
どうかみなさん、八百鬼天に心からの祈りを届けてやってください。
配下のモンスターだけでなく、ボスも同時に斃せるだけの神通力を、みなさんの祈りの力で届けてやってください」
前田慶次が上手く視聴者たちを煽って祈りの力を集める。
「頑張れ、八百鬼頑張れ」
「キープイットアップ、ヤオキ」
「繼續努力、八百鬼」
「ヴァイター、ヤオキ」
「コンティニュ、コム、サ、ヤオキ」
「アヴァンサル、ヤオキ」
前田慶次に乗せられた子供たちが、必死で応援する。
「がんばって、やおき、とらばしりだ!」
「頑張れ八百鬼、死ぬんじゃないヤオキ、おお、虎走だ」
「負けるなヤオキ、戦え八百鬼、いけ、虎走」
「キープイットアップ、ヤオキ、トラバシリ、ヤオキ」
「繼續努力、八百鬼、虎走」
「ヴァイター、ヤオキ、トラバシリ、ヤオキ」
「コンティニュ、コム、サ、ヤオキ、トラバシリヤオキ」
「アヴァンサル、、ヤオキ、トラバシリ、ヤオキ」
子供たちだけでなく、大人たちも目の色を変えて応援する。
「八百鬼天のレベルが上がりました」
「八百鬼天のレベルが9になりました」
「八百鬼天のレベルが上がりました」
「八百鬼天のレベルが10になりました」
「八百鬼天のレベルが上がりました」
「八百鬼天のレベルが11になりました」
とんでもない勢いで信仰力が集まり、神通力となってチャクラに蓄えられる。
「ありがとうございます、みなさんのおかげで神通力が集まりました。
死力を尽くしてモンスターを斃します、虎走!」
これ以上引っ張ったらライブ配信がダレる。
そう考えた八百鬼はここで終わらせる事にした。
虎走で護衛と近衛のゴリラモンスターを次々と斃していく。
「八百鬼のレベルが上がりました」
「八百鬼のレベルが116になりました」
「八百鬼のレベルが上がりました」
「八百鬼のレベルが117になりました」
今まではボスと数十体のゴリラモンスターを斃さずに残していた。
だが今回は、全ての護衛と近衛のゴリラモンスターを斃してボスに迫る。
「ゴリラパンチ!」
ボスゴリラモンスターが必殺技を放って来た。
同じ体格の人間に比べて10倍の腕力と握力を誇るゴリラだ。
必殺技に昇華させたジャブからストレートのワンツーを放って来た。
並の人間なら頭を粉砕されて即死しているが、八百鬼には通用しない。
その気になれば楽々と避けてカウンターを当てられる。
だが、これでライブ配信を盛り上げられると判断した八百鬼は、避けるのではなく手にしていた打刀でゴリラパンチを受ける。
パーン!
信じられない破壊力に視聴者が息を飲む。
鋭利で破壊力のある切味を誇っていた必殺の打刀が砕かれたのだ。
視聴者たちが、八百鬼が殺されるかもしれないと恐れるのは当然だった。
「頑張れ、八百鬼頑張れ」
「キープイットアップ、ヤオキ」
「繼續努力、八百鬼」
「ヴァイター、ヤオキ」
「コンティニュ、コム、サ、ヤオキ」
「アヴァンサル、ヤオキ」
世界中の子供たちが、声を枯らして必死で応援する。
「がんばって、やおき、とらばしりだ!」
「頑張れ八百鬼、死ぬんじゃないヤオキ、おお、虎走だ」
「負けるなヤオキ、戦え八百鬼、いけ、虎走」
「キープイットアップ、ヤオキ、トラバシリ、ヤオキ」
「繼續努力、八百鬼、虎走」
「ヴァイター、ヤオキ、トラバシリ、ヤオキ」
「コンティニュ、コム、サ、ヤオキ、トラバシリヤオキ」
「アヴァンサル、、ヤオキ、トラバシリ、ヤオキ」
大人たちは連続の必殺技で戦えを祈って後押ししてくれる。
「八百鬼天のレベルが上がりました」
「八百鬼天のレベルが12になりました」
「八百鬼天のレベルが上がりました」
「八百鬼天のレベルが13になりました」
「八百鬼天のレベルが上がりました」
「八百鬼天のレベルが14になりました」
「ありがとうございます、再び神通力が集まりました、虎走!」
八百鬼が堂々を嘘をついた。
最後に予定外の膨大な神通力が集まったのに、また神通力が必要のない虎走を必殺技だと嘘をついて放つ。
レベル60くらいの力を使った八百鬼にボスゴリラモンスターはついて行けない。
魔法袋から新たに取り出した打刀でボスゴリラモンスターの首を刎ね飛ばす。
八百鬼が見事にボスゴリラモンスターを斃す。
「八百鬼のレベルが上がりました」
「八百鬼のレベルが128になりました」
「「「「「ウォオオオオオ」」」」」
「「「「「八百鬼」」」」」
八百鬼の勝利を観た世界中の人々が歓声をあげ祝福する。
またとんでもない量の信仰力、神通力が八百鬼の所に集まる。
「八百鬼天のレベルが上がりました」
「八百鬼天のレベルが15になりました」
「八百鬼天のレベルが上がりました」
「八百鬼天のレベルが16になりました」
「八百鬼天のレベルが上がりました」
「八百鬼天のレベルが17になりました」
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