第11話

ムキになったような言いかたになってしまい、恥ずかしくなった。


こんなの軽く、適当に、ミナやみんなにするみたいにはぐらかせばいいのに。



「…たしかに、そんな仲ではないよね。ごめん」



そうやって謝られると余計に気分が悪くなる。


このひとといると、感情が言うことを聞いてくれない気がして居心地も最底辺。




「あのさあ、あんた、べつにすごーく気になって聞いたわけじゃないでしょ」



突っかかってみると、予想外だったのか、慌てた様子で立ち上がった。



「そんなことないよ!」


「あっそう」


「真剣に聞いた!」



あまりにも慌てているから少し笑えたけど、よく考えたらなんでそんなに慌てるんだ。



「可笑しいんじゃないの。べつにこっちはどーだっていーんですけど」


「鳥羽さんは意地が悪いと思う」


「意地以外も良いところなんてないよ」


「そんなことない」




0.7と0.1の隙間で、バグでも生じてるんじゃないの。



わたしとは、他とは,違う瞳。



「あんな光景見といて、よく言えるね」



理由は知らない。

だけどこのひとはいつも、わたしを真っ直ぐに見てくる。


やっぱりものすごく居心地が悪い。



「ねえこっちきて」



そう言いながらわたしも立ち上がり、そっと近づく。


目をつぶると冷たいくちびるが重ねられた。



躊躇いを帯びているのがよーく伝わってくる。

それなのに言われるがまま。



莫迦なひと。

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