第9話
「着いたよ」
着いたよって……あぁ、酔い潰れたお兄ちゃんを寝かせてる部屋にって事か。
「は、はい……」
「実の兄のこういうの聞く嫌だろうけど、仕方ないよね」
「へ? ......えっと」
一体何を言ってるのだろう。
そう思ったけれど、その後のスマホから流れ続ける実の兄の色事の音にため息が出る。
「……あの、すみません……」
お兄ちゃん……人の家で何してんの……あの馬鹿兄貴。
「謝るのとかは良いから」
うわ、これは相当怒ってる奴だ。
この男の人に、今すぐお兄ちゃんと電話を変わってなんで勝手なこと言えない。
だって、その色事をしている人とお兄ちゃんとこの電話の男の人の関係性を私は全く知らない訳だから......。
「あの、本当に申し訳ないです……どんな対応すればいいですかね」
私の方から解決案を提示するのはきっと違う気がしたから、取り敢えず話を聞く。
「来て」
「へ、あの……」
「来ないの?」
男の人、相当怒ってる……。
そりゃそうだ……自分の家でされたら溜まったもんじゃない。
「あ、えっと行きます」
なんで、私がお兄ちゃんを迎えに行かなきゃならないんだ。
心の中でお兄ちゃんに悪態をつく。
「……そう」
うわぁ……言葉が冷めきってる。
相当なお怒りのようだ。
「あの……待ってください……あっ……えっと紙とペン……」
あれ、何処だろ。
取り敢えず、部屋の電気……。
「どうしたの?」
「あの、申し訳ないんですけど……住所もし宜しければ教えて頂きたいんですけど……あと宜しければ私凄く方向音痴で迷って、今から出たとしても遅くなると思うので、家の近くの目立つ目印を教えて頂ければ……助かるんですけど」
友達の妹だとしても、他人に対して家知られるのやっぱり嫌だよね……。
「良いけど……その必要は無いと思うよ」
「え、えっと……それはどう言う」
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