第22話

「こらっ、零れるだろ」


不意打ちに一瞬驚きを見せた蒼が、ワインの入ったグラスをテーブルに置いた。


「あっ、ごめんなさい」


気持ちのままに、いきなり抱きついてしまった。


すぐに両手を離して彼から身を引いた。


「そうじゃなくて……おいで」

と、両脇を抱えられて、彼の足を跨ぐように座らせられる。


向き合った蒼の端正な顔がみるみる色気を増していく。


お互いお風呂上りで、パジャマのような部屋着で。


そんな格好なのに、蒼はやっぱりカッコ良くて。


ドキドキが止まらない。


「抱きつくだけじゃなくて、桃からのキスも欲しいんだけど」


「――っ!」

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