第4話

「信じてないのか?」


「言葉も過ぎると、嘘っぽく聞こえるの」


「嘘なんてつかないさ」


彼は心外だとでも言うように頬から手を離すと、目を細めて冷たい一瞥をくれる。


「だって、蒼は誰が見ても魅力的だけど、私は美人でもないしスタイルも良くないもの」


「全くお前は……自分を知らなすぎだ。

人の言う事を聞かないし、意外と頑固だな」


「そんな事、ない、よ……熱い、なんかクラクラしてきた」


フ~ッと大きく息を吐いて、蒼の肩に頭を凭れた。


これは、お湯にのぼせたのか、彼の甘い言葉にのぼせたのか……。


きっと両方だと思う。


でも、長湯をし過ぎたのは確かだ。


蒼に全身を見られるかと思うと、上がるに上がれなかったんだもの。


「大丈夫か?」


彼に支えられてお風呂を出た。


手伝ってくれるという彼を制して、何とか自分で体を拭いた。


下着とパジャマを身に着けて、ベッドルームに行こうとしたら、足元がふらつく。


着替えを終えていた蒼がすかさず抱き上げて、ベッドまで運んでくれた。

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