story11:殿下、あなたの婚約者は私ではなく妹です

 婚約者のアルフレッド様とカフェでデートをしていた時のことです。

 私の妹の婚約者のクリストフ殿下が目の前に立ちはだかりました。

「レゲーシー、君は婚約者がいる身で、―――」

 真っ赤になって怒っていらしゃいますが、私の婚約者は殿下ではなく、妹の方です。

 私と妹は御両親も間違えるほど似ているそうです。

 殿下が妹‥‥レゲーシーと間違えるのは仕方ないことなので気にはしません。

 ですが、間違えていることを正さなくてはなりません。

「殿下―――」

 殿下が驚いた顔をしています。

 気づいたのかなって思いましたが、どうやら違うようです。

「風邪でもひいているのか?」

 私と妹のレゲーシーの見分けかたは声が一番わかりやすいそうなんです。

 レゲーシーの婚約者とは言え、私と殿下はほとんど関わりがありません。

 まともに話したのは、レゲーシーの婚約者と紹介受けときくらいです。

「風邪はなく、私はレゲーシーの姉のケイシーです」

 元々大きな目が、これでもかと云うくらいに開かれました。

「すまない。間違えたようだ」

「よくあることですので、お気になさらないでくださいまし」

 私の妹は度々異性問題を犯します。

 達が悪いことに私の名前を使って問題を犯すのです。

 ですが、わかる人には解っているようで「また、貴女の妹が―――」と、話があがります。

「声をケイシーに寄せようとしているけど、暴露ばれていないと思っているのかしら」

「思っているではないかしら」

 異性問題を犯すレゲーシーが何故? クリストフ殿下の婚約者に選ばれたのか気になりますよね?

 クリストフ殿下の婚約者の話が出たときには、私の婚約者は決まってしまていたのです。

 国王陛下のお考えでは本来、私を婚約者にする予定だったそうなんですが一足遅く、泣く泣くレゲーシーに決まったそうです。

 余りも酷いから軟禁しても鼠のように出てしまうです。

 国王陛下もお困りです。

 悪いことした気分です。

 私がアルフレッド様を婚約者に早速に選んでしまったあまりに殿下に不憫に思いをさせてしまています。

 殿下は、誠実で優しいお方です。

 殿下の婚約者になられる方は幸せになれると思うくらいに人間性も優れたお方です。

 はっきり申しますと、レゲーシーと殿下では釣り合わないと思っています。

 国王陛下の命なので余程の事を起こさない限りは、婚約が白紙になることはありません。

 流石に妹もここまで馬鹿だとは思いませんでした。

 第二王子クリストフ殿下とご結婚なさる方の純潔を調べないはずありません。

 純潔を失っただけではありません。

 誰の子かも判らない子を身籠もっていました。

 これには流石に国王陛下もご立腹です。

 私は思うのです。

 初めから予測はついたのではないと思うのです。

 妹以外の家族は、レゲーシーには第二王子殿下の婚約者として相応しくないと申しておりました。

 その結果が今です。

 殿下が不憫でなりません。

 妹は、お産後にとっても厳しいと有名な修道院に送られるそうです。

 強いパイプが欲しいからと言って、不幸になると解っている方と結婚しなくてもいいと思うのです。

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