告白
=side増=
第31話
直『さっ、食べて食べて!』
客間のテーブルにででんと置かれた歓待の品を見て、リウ様とシンが唖然としている。
そりゃそうだろう、午後のお茶に招かれたと思ったら紅茶と苺サンドの他は何もないという大惨事、もとい大歓迎っぷりなんだから。
リ「ふぅーん…これは、執事さんのお手製?」
直『うん。美味しいよ!シンちゃんもどうぞ!』
シ「ありがとうございます」
とはいえ、一瞬で態勢を立て直して皿に手を伸ばすあたり、さすがは育ちの良い方だと思う。
従者の顔はまだ微妙に引いてる感じもするけど。
リ「…あ」
シ「美味しい」
目を見合わせてそう言う2人に、俺は内心やれやれと胸をなで下ろした。
まんざらお世辞でもないようで、リウ様がシンに「あと2切れ頼む」とか言ってお皿を渡してる。
そうなんだよ、なんでか知らないけどウマイんだよね、苺サンド。万人受けするものでもないと思ってたのに。
直『はー、美味しいv幸せv』
増「ご主人さま、お茶は」
直『あ、もう少しほしいかな。升に頼んで』
増「はい」
口を動かし続ける主と客を残し、いったん台所へ下がることにした。秀ちゃんと藤原は今ごろ夕食の準備で大忙しだろう。
室内では3人のにこやかな会話が続いている。
リ「そういえば、今度また僕の母が主催する夜会があるんだよ」
直『へぇ、そうなんだ』
リ「良かったら来ない?もちろん招待状は改めて出させてもらうけれど」
直『いいの?ありがとう』
リ「それでさ、その前にちょっと聞いておきたいことがあるんだ。…シン」
シ「はい」
何か紙が取り出されるが、歩きながらだと何が記されているのかまではわからない。
うーん、普段から眼鏡かけるようにしようかな。
リ「彼が実家に帰ってたときに…」
直『あれ、これって写真?』
―――ぱたん。
そこで俺は扉の外に出た。
写真と文章の区別もつかないってどうよ自分、とかノンキなことを考えながら。
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