第31話

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───





「・・・お疲れ様でした」




お色直し等の準備のため、また新婦の控え室を訪れる。





お願いだからどうか、目が赤いのは見逃してほしい。







「・・・西山」




「はい」




今度は、鏡越しにも目が合わない。







「・・・今日は、もう良いわ」




「え・・・?」






戸惑う。"良い"とは、どう言う意味だ。







「もう必要ないわ。今日は帰りなさい」




「し、・・・かしっ!!」





無理だ。帰ることなんて、出来るわけない。






「帰りなさい、西山。・・・最後の、お願いよ」






"最後の"──。





命令と言わないところが、お嬢様らしい。







「・・・わかりました、お嬢様」





振り向いたお嬢様の、顔は見ない。





見なくてすむように、礼をした。






「西山、・・・」




「・・・はい」




呼ばれて、顔を上げる。










「・・・今まで、本当にありがとう、西山」







「・・・はい。・・・お世話になりました」





彼女の頬を伝った涙は、見たくなかった。








_____END

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