第23話

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「・・・お嬢様、お美しゅうございます」





「あら、ありがとう、西山」





淡い桜色の着物に刺繍された橘の花。





まるで、・・・いいや、例え話などでは無く。





お嬢様は、この橘家を背負っておられる。








「この袴はね、慎介様から頂いたものなの」






スカートみたいに持ち上げられる袴は鮮やかな紫紺。





「一生一代の晴れ舞台だから、ですって」





小さな子供のようにはしゃがれるお嬢様に、少し、悔しくなる。






「ではそろそろ参りましょうか」




「あ、ごめんなさい。もうこんな時間」





お嬢様は時間のことなど忘れていたようで、時計を見てハッとした。






「待たせてごめんなさい、西山」




「いえ、お気になさらず」





お嬢様のためならば、待つことも苦ではありません。







・・・口が裂けても言えないが。

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