第5話

そんな事を考えながら、ビールを飲み信一の方を見ると、隣の男と喋っていた。







男は壁と同化した信一を、なんとか女の子達と喋るように説得してるみたいだが、

彼は知らんふりをしている。

そのうち男は信一の耳元で何かを囁いた。


すると、今まで無表情だった彼が笑いながら、男に何か言った。


初めて見る無表情以外の彼の笑顔は、今までの胡散臭そうな顔じゃなく


つりあがった目が笑うと垂れて可愛くて、薄い唇から見える白い歯がきらりと光り、好青年を思わせた。











その笑顔を見て、心臓を銃で撃ち抜かれたような衝撃が走った。










実際、額をゴンッというものすごい音をたてて、机にぶつけて俯いた。


隣の男が「きゃっ!」と男とは思えない悲鳴をあげていた。









私が、信一に一目ぼれした瞬間だった

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