第3話

信一は、目は一重でつりあがっていて、でかい鷲鼻、薄い唇、とがった顎、と全体的に顔の評価をすると、いわゆる何か企んでいそうな、悪人顔。





そんな顔だからか、合コンなのに近寄ってくるなオーラを出してるからなのか、

信一の右隣に壁、左隣は男友達と、合コンの意味がない座り方をしていた。




たぶん私と一緒で、人数合わせの為に連れてこられたんだろうなっていうのが、ひと目で分かる無表情で、ビールを飲んでいた。




私は、人の傷口に塩を塗る優しい友達に、

「くれぐれも粗相がないように、綾子は笑っているだけで良い。っていうか喋るな。」

と何回も念押しされていたから、隣に座っている頭の軽そうな男の子に、笑いかけているだけだった。

けどそれもいい加減飽きてきて、自然と目線は対角線上に座っている、もう壁の一部となりつつある信一を見ていた。






「それでね、綾子ちゃん聞いてる?」




「うん聞いてるよ。それで?」




と、微笑みながら隣の頭が軽そうな男の子に言うと


「それでね・・・・」とまた、一生懸命話し出した。





頭が軽そうだと思っていたけど、本当に軽いみたい。

私が、違う方を見て、返事は「へー」「ほー」「ふーん」「それで?」だけしか言ってないのに気が付いてない。


というか、いつも合コンや紹介の男は、こんな感じの男しか私に寄ってこない。

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