第15話 —— 闇に囁く亡者の声
静寂に包まれた深夜のギルド。
せつなは、燭台の揺れる炎を見つめながら、今日の出来事を振り返っていた。
初めての大きな戦い。仲間との連携。
そして、自分の「墓守」としての力——
「……私は、何を守るべきなんだろう」
独り言のように呟いた瞬間、背後で不気味な笑い声が響いた。
「クク……お前はまだ、その意味を知らない……」
瞬時に振り返るも、そこには誰もいない。ただ、黒い靄のようなものが微かに揺らめいていた。
「……誰?」
せつなが鋭く問いかけると、靄はゆっくりと形を成し始める。
骸骨のような顔をした男——いや、既に死者となった何かが、にやりと笑っていた。
「墓守よ。お前は何を守る? その力は、“守る”ためにあるのか?」
不気味な存在の問いに、せつなは息を呑んだ。
この声は、何かを知っている。
ケイルが鋭く剣を抜き、フィオナが呪文を詠唱する。
「せつな、下がれ」
ケイルが前に出るが、せつなは動けなかった。
——私は、何を守るために、この世界に来たの?
「ククク……近いうちに、お前は答えを知ることになる」
闇の亡者はそう告げると、ゆっくりと霧散していった。
不吉な余韻を残したまま、部屋には静寂が戻る。
せつなは震える拳を握りしめた。
「……私は、“守る”よ」
彼女の心に、新たな決意が宿った瞬間だった。
——次回、「影の墓標と、目覚めの刻」
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