転生受け皿シンリ君【転生した魂が一つの肉体へと集う】

蜂実科千斗

第1話プロローグ

それは王城の地下にある部屋の中で行われている。部屋というより牢屋と言った方が正確かもしれない、そこは窓一つなく、光の差し込まない密閉された空間、部屋の隅に置かれた、ろうそくだけが光源の薄暗い部屋


部屋の中央では、二人の男女が床に座り込んで何かをしている、男は上裸で女に背中を向けている。女は男の背中に両手を置いて何かを念じている、黒い模様が女の触れている部分から広がり男を包み込んでいく、それはまるで男を縛る鎖のようで、痛々しさを感じさせる見た目となった


「・・・終わったわよ」


女は立ち上がりその場から離れようとしたが男は立とうとしなかった、不思議そうに首をかしげる女がもう一度声を掛けようとしたとき、男が口を開いた


「近々、戦争が起きるかもしれない」


「そうみたいね・・・でも初めてじゃないでしょ」


「帝国が条件をのまなければ、僕は前線へ出向いて帝国兵を蹂躙することになるだろう・・・だからそうなる前に行動を起こす」


「・・・そう、じゃあ遂にやるのね」


「ああ、僕はこの国に反逆する」


「・・・勝算はあるの?」


「なければしないさ」


「そう、じゃあ私は貴方の敗北を、祈ることにするわ」


「ありがとう、でも残念なことに僕は最強なんだ・・・だからこそこの国のお偉いさんは僕を縛り続けたわけだし」


数十秒もの間沈黙が空間を支配した。二人の目にはここに至るまでの記憶が映っているのだろう


「でも彼らは知らない、僕は一人じゃない・・・僕という人間は僕だけじゃない」


そう、僕は生まれた時から二人だった、そして今は・・・・・

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