第17話 魔人との一対一
「はあ、はあ、はあ・・・。まったく、手間かけさせてさ。ほら、後はアンタ1人だよ。」
「ふん、その様だな。ちっ、あいつら。」
「ま、そろそろ始めようか。あっちが終わるまで時間もないしね。」
そう言いながら私は、『変化』を解いた。
「・・・やはり、狐人族か。」
「大正解。しかも特別、八百万神族の直系だよ。アンタ、ラッキーだねー。名前は?」
「魔族の上位種族、
「そういう事。ちょっと悔しいけど、勝てば全て問題無し。ちなみに、私はサクラ。よろしくっ!」
そうして、2人の戦いが静かに始まった。
始めに突撃したサクラにガクトは心底驚いていた。
(普通、初めての相手と戦う時は相手の手札を探るのが一般的だというのに、なぜだ?)
疑問に感じながらもサクラの横一閃を血で作った剣で受け止める。
吸血鬼のスキルは『
(ここで距離を詰めてきたということは、相手は近接が得意なはず。ならば離れて牽制しつつ、油断を狙って距離を詰め、一撃で倒す。)
とか考えているんだろう。普通の人はヴァンパイアは遠距離戦闘を得意としていると思うだろう。しかし、サクラの父もヴァンパイア。思考も弱点も全て知っている。なら、今のサクラがする事、それは
(とにかく叩きまくる!)
だが、相手も馬鹿じゃない。確か魔王の五本指の1人だった気がする。
「お前、まさか知っているのか?俺らヴァンパイアが遠距離だけではない事を。」
「そうだよ。でも勘がいい奴は困っちゃうね。裏の裏をかくことができない。」
「バレちまったのなら仕方がない。俺も近接でいくとしようか!」
それから、何十回、何百回も切り結ぶ。もう正確な数は覚えていない。ただ来るのを落とし、切るのを落とされる。
正直楽しいとさえ思えてきてしまう。ずっとこんな時が続けば良いのに、と。
だが、技術はカバーできても体力だけはどうにもならない。
数えきれないほど斬り合った後、サクラがついに膝をついてしまった。
「・・・もう体力も魔力も限界だろう。」
「う、うるさい。私は、まだ・・・」
「もういい。・・・すぐ、楽にしてやる。」
大きく振り上げられた剣を見て、サクラは感じた。
(胴がガラ空き。しぼりだせ!最後の力!!)
「オーバーロード!!!」
サクラの最後の渾身の力をふりしぼって出した『オーバーロード』は敵の胸を斜めに切り裂いた。
「くっ、まだこんな力が、あったとは・・・」
「殺されるのなんてごめんだね。殺られるくらいなら自分で死んでやるわよ・・・」
そう言って、サクラはその場に倒れ伏した。
「ハア、ハア、ハア・・・ッ。この傷じゃ、王都を堕とすのは無理か。」
最後にサクラが放った『オーバーロード』は思いの外ダメージが大きかった。
「早く、魔王城に戻って魔王様に報告を「なんじゃ?妾とは遊んでくれんのか?」・・・ッ!!」
声の主は、さっき死んだはずのサクラからだった。
自分の血を使って斬られた傷を縫っているところを見てガクトは信じられない物を見る様に言った。
「それは、『
「そうじゃ。此奴のスキルでの。クックックッ、実に面白い身体じゃ。」
「・・・お前はなんだ?」
「妾か?妾は"鬼の棟梁" 酒呑童子という。この世界の、まあ神の様なものじゃ。安心せい、神としての力は
「酒呑童子って、もしかして八百万神族の、か?」
「ほう、八百万神族を知っておったか。その通り、妾は全ての種族の神、八百万神族を創り、原初の神となった。その他の原始は
ドガクトの体には自然と震えが入っていた。
「さて、ここで話していても何も変わらん。此奴の次は、妾の番じゃ。・・・・・・こんのか?なら、此方から行かせてもらうとするかの。」
◆◇◆
ホムラたちが西門についた時、ちょうど7人目の敵が地面に倒れ伏しているところだった。
残る1人と何か話したと思えば、サクラの周りが薄く光り、髪は黒から金色へ、そして人間にあるはずがない耳と三つの狐の尻尾が生えていた。
「あれは、獣人族の中でも滅多に見ることのできない、狐人族・・・!」
森の奥深く、ドラゴンが居る辺りでしか確認されてない希少種、狐人族。見たものには幸運が降り注ぐという伝説を持ち、一時期は人間の手で絶滅寸前まで追いやった種族。
と相手は、
「あの魔人、もしかしてヴァンパイアか?だとしたらまずい。アイツ相手には流石のサクラでもきつすぎる!」
劣勢かと思われていたが、ほぼ互角、最初の方は優勢だった。
だが、やはり技術はどうにかできても体力だけはどうにもできない。力尽きたサクラはその場に膝をついてしまった。
「サクラ、起きろ!まだ敵を倒してないぞ!」
メラハさんの言葉が届いたのか、相手の振りかぶりざまに渾身の『オーバーロード』を放つが、相手を倒すにまでは至らず、致命傷を負わせて今度こそ動かなくなった。
「・・・・・・サクラ・・・。」
「・・・・・・お前ら、行くぞ。サクラがあそこまで削ったんだ。このまま無下にするかよ!」
覚悟を決めたメラハさんたちが歩き出そうとした瞬間、サクラがまるで生き返ったかの様に起き上がり、決して大きくない声で、しかし圧倒的な覇気をまとった声が一帯に響いた。
だが、その声は
「なんじゃ?妾とは遊んでくれんのか?」
あの時聞いた何かの声だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます