第12話

やっと辿り着いた教室。



【2―4】と書かれたプレートの下まで足を進め、なんのためらいもなく、ガラッと前扉を開けた。




「…………え?」




―相澤がいないとわかっていた。



いないとわかってたから、なんのためらいも、なんの確認もせずに扉を開けた。



しかしそこには




「――……!!?」




いつもと同じ窓際の席で、机に突っ伏して眠っている相澤の姿があった。




(な…、なんで…―!?)



そう思った時には、すでに「ズザッ!」と一歩後ずさりしてて、もう一歩後ずさっていれば、間違いなく扉にぶつかっていた。



それ位、この光景は予想外のものだった。




扉にぶつかんなかった事で相澤を起こさずに済んだ自分に安堵して、ホッと息をつく。



今起きられたりしたら、気まずさハンパねぇ……。



その後も起こさないように、そろりそろりと歩きながら自分の机を目指した。




相澤と喋りたいという願望はずっとあったけど


でもいざ向き合えたとしたら、絶対上手く喋れないと思う。



ホント俺ってヘタレ……。




そんな事を思っている内にいつのまにか自分の席の前まで来ていて、机の上に置かれたシルバーの携帯を発見する事が出来た。



それを手に取ってブレザーのポケットに突っ込む。



後はまたそろりそろりと足を進めて、教室から出ればいいだけだった。

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