【Interlude Ⅱ】 Teacher’s report 2
「まったく。今日もあの子には驚かされました。」
わたしは今日も今日とて一人の生徒のことを思い浮かべていた。言うまでもなく九王忍のことだ。
「いやはや。毎度毎度もう驚かないぞと思って望み、そして驚かされるのですから、たいしたポテンシャルです。」
彼女には上出来とだけ伝えたが、昨日初めて本格的な魔法を教えた時も、今日の実戦訓練でも、その飲み込みの早さ、習得の速さに驚かされた。
「三日はサポートに着くと言った以上、着きはしますが、三日も要りませんね、アレ。」
実戦訓練だって、あの子の編入初日の時点ではもっと後でやるつもりだった。それを昨日の様子を見て前倒しにしたのだ。全くもってとんでもない成長速度である。何しろ昨日最後に教えたのはCランクの魔法。普通なら魔法を習い始めて二ヶ月は経たないと習得することすら難しい。だというのに、あの子は魔法を習い始めて一週間も経たない内に習得し、あまつさえ実戦に耐えうるレベルまで習熟してしまった。あの子の姉ですらあのレベルに達するまでは、もう一日ほど遅かった。ポテンシャルだけなら間違いなく姉以上だ。
「とはいえ、教師たるもの、驚いてばかりではいけませんね。」
今後も驚かされそうな気はするが、それはそれ。彼女含め、生徒の実力を真っ直ぐ受け止めるのが教師の役目である。わたしは報告書の作成を終えると、より一層の気合を入れて彼女に向き合うことを心に決め、残りの書類に向き合った。
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