第十三章 呪い

――――第十三章 呪い


 放課後、約束通り、校舎裏に弥来はやってきた。恋美は考えた。まち針を抜けば弥来は恋美への好意を失うはず、なのであれば、私がここで弥来を受け入れるふりをすれば、針を抜く動作が不自然でないほどに近づくことができ、抜いたあとに振られることができれば空くんを裏切ったことにはならないと。恋美はやってきた弥来に

「弥来くん、私もあなたとお付き合いしたいです。」

そういうとは私は大胆にも弥来にハグをした。ファーストハグは空くんがよかったな……そう思いつつも、恋美は彼の腕から針を引き抜いた。すると弥来は

「ん……え?は??」

恋美を突き放した。

「俺、いま、なんで……え、百々……百々…………。」

恋美は、すがすがしい気持ちでいっぱいだった。突き放され、傷ついたフリをしながらも、にやけるのをこらえるのに必死だった。最後の1本が、私の手に返ってきた……!もう恋美は弥来も百々もどうでもよかった。弥来が私から離れ去ってすぐ私は空くんを探しに駆け出した。空くんは教室で友達と話していた。恋美は空くんに駆け寄り、最後の1本を右脚に刺した。その瞬間、空くんは悲痛な悲鳴を上げてその場に崩れ落ちた。

「うっ…!なんだこれ…!脚が…!」

慌てる恋美に、空くんは苦悶の表情で訴えた。

「痛い…!すごく痛いんだ…!」

そのまま空くんは立てなくなり、救急車で運ばれていった。恋美はただ、茫然と立ち尽くすことしかできなかった。

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