第五章 増える針の数

――――第五章 増える針の数。


 グループワークでは、空くんが積極的に意見を出したり、作業を手伝ってくれたりした。恋美は緊張しながらも、空くんと初めてこんなに近くで話すことができて、夢のような時間を過ごした。空くんは優しくて、頭も良くて、やっぱり素敵な人だ。恋美はますます空くんのことが好きになった。

 空くんと少しずつ距離が近づいていく中で、恋美の空くんへの想いはますます強くなっていった。もっと近くにいたい、もっと空くんの笑顔を見ていたい。そんな気持ちが抑えられなくなった恋美は、更なる行動に出ることを決意した。ある日の放課後、人気のない廊下で、恋美は偶然を装って空くんに近づいた。そして、今度は両脚にそれぞれ1本ずつ、合計2本の魔法のまち針をそっと刺したのだ。一瞬、空くんは「うっ!」と声を上げて足を止めたが、すぐに何事もなかったかのように歩き出した。6本あるうちの半分、3本を空くんに差し込んだことになる。恋美は罪悪感を覚えながらも、これで空くんはもっと自分のことを好きになってくれるはずだと、わずかな希望にすがりついた。魔法の力に頼ってしまったことに後ろめたさは感じながらも、空くんの笑顔を独り占めできる未来を想像して、恋美の胸は高鳴っていた。

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