転生少女は諦めることを辞めた。

ごりこすごり子

プロローグ

プロローグⅠ

人気のない暗い路地の裏。

とても豊かで大きな大国であるルーニア王国の闇である貧民街スラム

ここではスリや麻薬の取引なんて日常茶飯事の街である。

そこに一人の少女……というよりは幼女と言ったほうが正しいほどの幼い女の子が暮らしていた。


「おい、こんなところに女の子がいるぜ。」

「よせ、近づかない方がいい。なんてったってここ貧民街スラムには碌な奴なんていねぇ。それは女子供だって関係ねぇ」

「その通りだな早くこんなとこ出ようぜ」


(……たすけて、だれか。)

 

(おなか……すいた。)

 

きょうもごはんもおかねももらえなかった。


女の子はむくっと立ち上がり、とぼとぼ歩き出した。


貧民街スラムからでてきたらもしかしたらなにかもらえるかもしれないとおもったけど、そんなことなかった……

 

しばらく女の子が歩くと辛うじて屋根があるところにつき、そこに座り込んだ。


(さむい……)

 

種火パイロットフレイム

 

(あったかい)

 

ぽっと着いた小さな火。

だんだん暗くなっていく貧民街を照らす火はとても目立ちながらゆらゆら揺れていた。


「夜なのにここ明るくねぇか?」

 

そこにある男が寄ってきた。

 

「……!!火じゃねぇか!!それに屋根もある!」

「っ!!」

 

 男はいたく喜んでいたが女の子は怯えている。

 

「今日からここが俺の場所だ!それにはこいつが邪魔だなぁ、」

「……」

 

 (せっかく見つけた屋根のある場所なのに)

 

「声が聞こえねぇのか?」

 

 男が女の子に掴み掛かる。

 

「いたっ……」

「ここから出てけっつてんだよ!」

「ひぃ……ごめんなさいごめんなさい」

 

男が女の子を投げ飛ばす。

 

「分かったんだったらさっさとどっか行けよ、ドブネズミがよぉ!」

 

女の子はよろよろと立ち上がりここから立ち去った。

 

(さっきなげとばされたせいでせなかがいたい)

 

女の子は川のほとりに行き座り込んでしまった。

 

(くらくなってきてさむい)


 「種火パイロットフレイム

 

小さな火に手をかざしあったまる。

そこにポツポツと雨が降ってきた。

 

「!!」

 

せっかくつけた火が消えてしまう。

やがて大雨になってしまう。

女の子は疲れ果ててしまった。

 

(なんでこんなことに……?だれか……だれでもいいからたすけて)

 

しかしその心の声はだれにも届かない。

 

(もうすくいがあるなんておもったらだめだ。全てにあきらよう。)

 

そして女の子は目を瞑る。

女の子の命の灯火が消えてしまった。

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