クロとシロ

NICO&pigro-f

クロとシロ —笑顔の出会い—

クロとシロ プロローグ -笑顔の出会い.1-

『クロとシロ』

著者:NICO & pigro-f


プロローグ -笑顔の出会い-



物語の舞台は、現代日本によく似た異世界の国。


この世界には人間や、動物の耳や尻尾が生えた獣人、不思議な力を使う種族たちが共に暮らしている。


そして、アーミラルラ(人間は吸血鬼と呼ぶ)が支配する不思議な世界


留学生「ムツキちゃん」と、町を守る自衛団員「シイロイさん」。


少し寂しげな少女と、笑顔を守ることを信念とする狐の御使いの出会いから、 世界の運命が少しずつ変わり始める


―― やさしくて、ちょっぴり不思議な、ほっこり物語のはじまりです。




1. 出会いの朝


朝、登校しようと玄関を出たムツキちゃんは、アパートの前に誰か座っていることに気付いた。


小柄で小等生の男の子のような体型、よく見ると顔を真っ青にしてうずくまっていた。


恐る恐る近づくムツキちゃんは、その顔を見て思わず声を掛けた


「大丈夫かい?お医者さんに連絡しようか?」


しかし、掠れた声で


「大丈夫なのじゃ、救急を呼ばなくていいのじゃ」


力尽きたように意識を失った。慌てたムツキちゃんは辺りを見渡したが、誰もいなかった。


ムツキちゃんは考えた。小柄な相手なら自分の部屋まで運べるじゃないかと。そこで肩を持って引きずりながら、エレベータに乗せると、部屋に運び込んだ。


お布団に寝かせると、横に座った。


「どうしよう?お医者さん呼んだ方がいいのかな?」


ムツキちゃんは不安になったが、寝ている者の少し冷たくなった手を握りしめていると、少しずつ顔色がよくなっていった。しばらく、しばらく手を握っていると、次第に顔色が戻り、穏やかな寝顔になった。


「よかったよ」


そうムツキちゃんは呟き、安堵の表情を浮かべた。



「のじゃ?」


目を覚ますと見知らぬ部屋に寝かされていた。


「ここはどこじゃろ?」


部屋を見渡したが、ここが何処だかわからなかった。立ち上がろうとしたが力が入らず、身体を起こすのが精一杯だった。


その時、部屋の扉が開きムツキちゃんが入ってきた


「大丈夫かい?」


ムツキちゃんは目を覚ましたことに、ホッとして微笑んだ。


「助けてくれたのですか?ありがとうございますのじゃ。大丈夫ですのじゃ」


力無い返事だったが、ムツキちゃんは安心した。


「わしは、シイロイと申します。この町の自衛団員をやっておりますのじゃ。助けてくれてありがとうございますのじゃ。」


自己紹介をして再びお礼を言ったシイロイさん


「ボクはムツキだよ」


少し緊張をしながら自己紹介をしたムツキちゃん


「何処か調子が悪かったのかい?お医者さん呼ぼうか?」


ムツキちゃんがそう聞くとシイロイさんは


「心配無用なのじゃ、大丈夫ですなのじゃ。」


と答えるがシイロイさんのお腹は「グゥー!」と大きな音を鳴らした


「お腹空いてたのかい?今、用意するね」


ムツキちゃんはクスッと笑って部屋から出ていった。シイロイさんは力が抜けたようにまた寝てしまった。


「わし…ハラヘリなのじゃ…」





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る