第47話
私は一度抑えていたものを口に出してしまったら止まらなくなって、もう全部理央にぶつけてやろうと思った。
目の前で、私のことを愛おしそうに見つめるこの男なら、きっと全部受け止めてくれる。そう思えた。
「理央も私のこと、好きでいてくれてる?私だけを?こうやって、面倒なこと聞く女でも、嫌いにならない?」
理央は堪えきれなくなったみたいにくしゃっと笑って、その顔は、なんだか泣きそうにも見えた。
私をぎゅうっと抱きしめる。いつもの体温と、心地よい理央の香り。
ずっとこの中で守られていたいと、不覚にも、思ってしまった。
「郁ちゃんだけが、本当に、意味分かんないくらい好き。俺のこと考えて不安になってんのも、最低だけど、ちょっと嬉しいと思ってる」
理央が「これ以上その可愛い顔見せたくないから、もう帰ろ」と言って、私たちはようやく地下鉄のホームへ向かった。
理央の存在が薄れてきていた私の部屋を、また彼で満たしたくて、勝手に自分の家に向かった。
部屋に着いてからも理央は私の手を離さないままで、少し決まり悪そうに話始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます