第38話

「やーっぱり、男いたんじゃん!そんなおもしろい話、はやく教えてよ~」



みのりは酔っぱらっていたわりに、先日の食事会での会話を鮮明に覚えているようで、私は結局、理央との関係を出会いから今に至るまで説明することになった。



「でも、最近会ってないし、どうなんだろう。向こうはちょっとした遊びのつもりかも」


自嘲するように笑えば、みのりは一層声のトーンを上げて激しめに否定してくれる。



「いや、ありえないでしょ。たしかに相手もハイスペック男みたいだけど、どう考えても郁に惚れてる。というか囲ってる」


「かこって…?」


「まあしかし、連絡不精なのはいただけないね」


「元々、そういうのマメな人じゃないんだと思う。私も、自分はそんなに気にするタイプじゃないと思ってたんだけど」



そう、例えしばらく放置されようと、気にならなかったはずだ。


あれだけ魅力があって、周りにいる人みんなに好かれてしまうような男なのだから、私だけに本気になれというのは望みすぎている。


はじめから分かっていたはずだった。



理央みたいな素敵な男の人に、若いうちに一度くらい引っかかってみるのも悪くないから、とさえ思っていた。

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