第17話
「いえ、そういう意味ではなく…」
「まあ、ちょっと点数稼ぎたいな、とは思ってるけど」
彼は本当に直球の人らしい。
私は、ただ送るだけって言われてるのに頑なに断るのも自意識過剰かな、いやでも、そもそもこの人と今日知り合ったばっかりだしな、と次に続けるべき言葉をぐるぐる考えながら、改札へと向かう階段を上がる。
その間もしっかりと横峯さんは私の隣を並んで歩いていて、その事実が私にとっては違和感でしかなかった。
「あの、ごめんなさい、本当に大丈夫なので。もう改札出ちゃいますし。ありがとうございました」
「あ、ちょっと待って」
「お疲れ様です、おやすみなさい」
早口でそれだけ言って軽く頭を下げてから、ほとんど走るようにして改札を抜ける。
なおも私を引き留めようとしていたのか、横峯さんがこちらに手を伸ばしているところまでは、はっきり見えた。
これは言い訳だけど、やっぱり今夜の私は酔っていた。
だって、普段だったらもう少しまともな解散の仕方ができるし、改札の外で佇んでいた男の存在に気が付かないはずがない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます