第11話

部屋に現れた社長にみんなが気を取られている中、いつの間にか私の隣にぴったりとくっついたみのりが声を潜めて囁く。



「ねえ郁。さっきの連絡、男でしょ?」


「え、ええ?そう、だけど、そういうのじゃないよ」


「なあに、もったいぶるなあ。今度、詳しく聞くからね」


「本当に、多分、全然期待されてるような感じじゃないの」



社長の挨拶が始まって、私たちはそこで口を閉ざした。



私は、みのりにこれ以上困った顔を隠し通せる自信がなかったので、少し安堵した。



あ、理央に最後の返信送れてないままだったな、と少し経ってから気が付いた。

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