第60話

「まあすみれが無事で良かったわ。早く教室戻りましょ。」


かっきーがさっきの出来事について詳しく知ったら、きっと責任を感じてしまうと思ったからだろう。


私は、奈々ちゃんのこういう押しつけがましくない気遣いがすごく好きだ。



すれ違ったときに赤い上履きが見えたから、二年生の子だったと思う。


きっと人工的に染められたのであろう、私よりも明るい茶色の髪の毛をポニーテールにしていた。


夏休み前、図書館でかっきーと一緒にいた子かもしれない。


ちらりとそんなことを考えたけれど、私もこの件についてこれ以上言及する気はなかったので、そのまま三人で肩を並べて教室までのわずかな道のりを歩いた。

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