第1話

君の声はいつでも甘い。甘くて透明だ。


その綺麗な形の唇で、眩く光に反射するみたいな声が、私の名前を紡ぐだけで泣きたいくらい幸せだって思う。


君の声で呼ばれる私の名前が何よりも空気になじんで、信じられないくらい優しく私の鼓膜を震わせるから。



「翠衣。すい、こっち向いて。」






ああ、ほら。君の声には引力がある。

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