ロイパス山脈-下-

 ロイパス山脈の頂上はまるで、自然に形成された闘技場のような形になっており、周囲には仮の観客のモンスター達がいた。


「な、なんなんだこれ?」


「おそらくここのボスの性格なよって、こうなっているのかと思います。」


「ご主人、これはあれじゃ、一対一のバトルをしようっていうことじゃ」


「じゃあ…ジンクス…いく?」


「いやいやいやい、無理無理無理、ここは断言させてもらいます。普通に無理です。門番の時点で負け確なのにそれは、オーバーキルでは?」


「そんなことないっしょ、ほらほらレッツゴー」


「ご主人、それは酷いと思いますのじゃ」


 そう呑気な会話を続けていると観客の席からブーイングが発生した。


「ほら〜ジンクスが行くの遅いから〜」


「私は行きません!それなら満さんが言ってください」


「このぉ〜奴隷のくせにぃぃ」


「あっ!ひどいです!そんな事しないって言ったじゃないですか」


「ご主人、わしもご主人が言ったほうがいいと思いますのじゃ」


「仕方ないなぁ〜特別だそ…?」


 そうしぶしぶ満が行くことになった。


「はぁ…めんどくさ」


 満はそう思いながら闘技場の中央部に立つと「おーい、ここのボスはいるか〜?」と声を大きくしていった。


 すると後ろからグルルルルという獣の声が聞こえ後ろを振り向くといつの間にか、ジンクスから聞いた魔石の魔獣王がいた。


「オマエラ…セントウダ」


 そう魔石の魔獣王が言い、火のオーラに包まれたクリスタルに右手の一部が変形した。

 その変形した部位でこの闘技場の床に触れると、闘技場の周辺が炎に包まれ出られないようになっていた。


「オレハ…テンジョウゴオウノヒトリ……」


 そう適当に言っていたが、満は天上五王にこんな奴いるのか?と思い闘技場の外にいたリュファスに大声で聞いた。


「ご主人、そんな天上五王は居ませんが、次世代の天上五王の候補として挙がっておる生物の中には魔石の魔獣王がいるのじゃ!そやつがそう言って威張っているのかもしれぬ!」


「なるほどねぇ〜そういうことか」


 満は魔石の魔獣王を気絶させるために首をトンッとさせたら、気絶ではなく魔石の魔獣王を永遠の眠りの状態にさせてしまった。

 満は闘技場の中央部分で死体を埋め、所有の闘技場のモンスター達にサヨナラのファイアボールを放って、壊滅させた後に闘技場から出た。


「なぁリュファスとジンクス。俺強くなりすぎてこれ以上成長できないかもしれないかも。」


「ご主人、一応天上五王の中でわしは最弱でそれ以上の天上五王はご主人のステータスを大幅に超えるものがおるので、安心してくれ」


「つまり?オレはまだ成長できるってことだ!」


 満は少し安心しながら、次の山脈であるロイマス山脈のロイマス山へと下山した。


 下山する道中にジンクスがまたあの大地の守護者と戦っていた。

 戦闘回数159回でよやく大地の守護者を倒すことができたジンクスはさらにレベルアップした。


「ていうかリュファス。今思ったんだけど、この世界天上五王とその他の差激しくない?」


「それは、今から解説するのじゃ」


「ほう、理由があるのね。気になる」


 満達は標高18km地点で美しい風景を観ながら、座った。


「ご主人、今のアレス暦というのがあるじゃろ?」


「うんあるね。確かアレス暦とは戦神アレスが悪魔の軍団の襲撃からまだ繁栄して間もない人類を守った、その日から何年経過したかみたいなのでしょ?」


「それじゃ、そしてこの悪魔の軍団襲撃以前は全ての生命は平均ステータス5E+40ほどあったのじゃ」


「え?今と全然違うじゃん」


「だが、悪魔の襲撃により長寿や不老や不死の存在は消滅していったのじゃ」


「なんだよ。不死を殺すって」


「そして唯一生き残った人間も寿命により太古の昔に滅び、現在は本来の強さを失った人間しか生き残っていないのじゃ」


「つまり…?」


「わしら天上五王は悪魔襲撃時にたまたま生き残った長寿の存在なんじゃな。だから本領発揮できていないこの生命の中ではずば抜けて強いんじゃな」


「ほーん、じゃあ魔王の強さはアレス暦以前ではどうなっていたの?」


「確か…平均ステータスG^64(4)だったなぁ」


「うん…?何やそれ」


 そう満が言った瞬間にアシストモードが起動し、解説を始めた


《G^64(4)とは、意味のある最大の数としてギネス世界記録に登録されている数です。

これを理解するためには、まず「演算の階層的拡張」について知る必要があります。


まず、足し算の繰り返しは掛け算です:


3 + 3 + 3 = 3 × 3


掛け算の繰り返しはべき乗です:


3 × 3 × 3 = 3^3


べき乗の繰り返しはどう表せばよいでしょうか?

このとき、ドナルド・クヌースによって提案された「矢印表記法」が使われます。


矢印表記の定義:


x ↑ y = x^y(通常のべき乗)


次に、右結合の繰り返しべき乗(べきのべき乗)を表現するために、矢印を2つ使います:


x ↑↑ y = x ↑ x ↑ x ↑ ... ↑ x(y個のxを右から順に繋げる)

(つまり右結合でy-1個の↑を入れる)


たとえば:


3 ↑↑ 2 = 3^3 = 27

3 ↑↑ 3 = 3^(3^3) = 3^27 = 7625597484987

3 ↑↑ 4 = 3^(3^(3^27)) = 3^3^3^27(非常に大きな数)


さらに矢印をもう一段階増やします:


x ↑↑↑ y = x ↑↑ x ↑↑ x ↑↑ ... ↑↑ x(y個のxを↑↑で繋ぐ)


たとえば:


3 ↑↑↑ 2 = 3 ↑↑ 3 = 7625597484987

3 ↑↑↑ 3 = 3 ↑↑ 3 ↑↑ 3 = 3 ↑↑ (3 ↑↑ 3) = 3 ↑↑ 7625597484987

= 3^(3^(3^(...)))(高さ7625597484987の指数の塔)


このように、矢印を増やすことで、数の大きさは爆発的に増加します。

これをさらに一般化し、n本の矢印を使った演算を定義します:


x ↑^n y(n本の↑を使う)

例:x ↑^1 y = x ↑ y = x^y

x ↑^2 y = x ↑↑ y

x ↑^3 y = x ↑↑↑ y

...


これをもとに定義されたのが、巨大数の記法「グラハム数 G」です。


グラハム数の定義:


G1 = 3 ↑↑↑↑ 3

G2 = 3 ↑^G1 3

G3 = 3 ↑^G2 3

...

G64 = 3 ↑^G63 3


最終的に、G64は「G^64(4)」と呼ばれ、ギネス世界記録に登録されている意味のある最大の数です》


 そうアシストモードが言い切り、それを5分ほど眺めたあとに、アレス暦以前までの魔王のステータスに驚いた。


「ば、バケモン……やん……」


「はい、そうじゃな。もし昔の魔王が今の魔王だとすれば、この宇宙全土…いや次元全土を支配していたかもしれませぬ。わしのステータスで次元やらを突破できるので」


「いやーバケモンすぎて笑えねぇ。俺瞬殺されんじゃん」


「ご主人、驚くべき事実がもう2つあるのじゃ。」


「おぉ?なんだ?なんだ?」


 満は興味津々な顔でリュファスのほうを向いた


「まず、一つ目にわしらの今の世界のように旧アレス暦には魔王を超えた存在が存在していたのじゃ。そして、2つ目はそれら全存在を滅ぼした悪魔と呼ばれる存在が、そろそろ立て直し世界を征服しようとしているのじゃ」


「リュファス!1つ目は驚いたけど、2つ目の悪魔侵攻の件に関しては戦神アレスがまた守ってくれるんじゃないのか?」


「いえ、そんな事ありません。あれは"人類がまだ幼い"ということだから守ったのであって、人間の世界で言う成人したこの世界を守る義務はアレスには無いのじゃから、守る確率はほぼ無いに等しいのじゃ」


「なるほどねぇ」


 満はなぜか悪魔侵攻からこの世界を守るという責任感が生まれた


「この世界がなくなったらいろいろと困るし、悪魔に殺されるのは嫌だからいち早く強くなるか。


「そうしたほうがいいのじゃ」


「じゃあ、次の山脈に向かうか」


 そう言い、満は立ち上がった

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