夜を日に継いで

ツル・ヒゲ雄

Ⅰ 豚と犬

1 濃い土の匂い

 初めて大麻の栽培を手伝ったのは六年前、イサミが八歳の誕生日を迎えた翌日のことだった。まだ肌寒い三月の下旬、薄めた水彩絵の具を引き延ばしたように淡い水色の空の下、澄んだ空気の中、父親と一緒に種を蒔いた。


 濃い土の匂いがした。


 それから二週間後に発芽した小さな芽を眺め、これからもこうしてずっと生きていくのかもしれないと、なんとなくそう思った。


 さらに一か月ほどが経って、芽が葉になったのを見たとき、頭のてっぺんから爪先まで身体中をめぐる血が沸騰してから、一瞬で冷えて固まった気がした。


 そのときの感覚を、彼は今でも覚えている。

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