第41話

「愛丸、何処へ行くのですか?」

 玄関で靴を履く愛丸に向って零は尋ねた。

「学校だよ」

 愛丸は何の気なしに答えた。

 すると零は直ぐさま

「では私も行きます」と言って靴を履こうとする。

「え、だっダメだよ!!」

 愛丸は慌てて零を抑えた。

「どうしてですか?」 零は当然の事を拒否されて、訳が解らずキョトンとしている。

「どうしてって…そう言われても…困ったなぁ……」

「私にはマスターを守る義務が有ります」

 愛丸の反応に零は少し困惑しているようだ。

「そりゃそうだけど……とにかくダメなものはダメなの」

「私が一緒だと迷惑なのですか?」

「いや、そういう意味じゃなくて…あ~どうすりゃ良いんだよ……」

 愛丸は途方に暮れてしまった。どう説明すれば良いのか思い付かないのだ。

と、そこへ後からやって来た清一郎が二人の様子に気付いて「どうかしたのか?」と尋ねた。

「兄貴ィ~何とか言ってくれよ、零が一緒に学校へ行くってきかなくて……」

愛丸は早速清一郎に泣き付いた。

すると清一郎は「零、学校は決められた者しか行けないんだよ」と涼しい顔でさらりと言う。

「決められた者……?」

 零は清一郎の方を見てキョトンとしている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る