第7話 トレーニングダンジョン 3

 その後、俺は第2層へと辿り着いた。

 第2層に出現する魔物は、リザードマンではなくコボルトという犬の顔をした人型の魔物だ。

 まぁ……倒し方はこれまでと変わらないが。


「《中級の炎槍フレイム・ランス》《上級の氷槍ブリザード・ランス》!!」


「コボ──」

「コボ──」


 コボルトが死ぬ。

 炎の槍に貫かれ、氷の槍に貫かれ。

 かわいそうなほど哀れに、散っていく。


「さて、そろそろ魔法スキルの検証は十分だな」


「コボォオオオオ!!」


「コボォオオオオ!!」


 地面からコボルトが2匹沸いてきた。

 おぉ、タイミングが良いな。


「よし、では次の検証だ」


 拳を構え、腰を落とす。

 さて、近接戦闘を始めようか。

 

「コボォオオオオ!!」


「コボォオオオオ!!」


 コボルト共はナイフを片手に、駆けてくる。

 俺はそれを軽く避け、そして── 


「《竜爪撃》ッ!!」


 強力な右ストレートを顔面に叩きこむ。

 魔力を帯びた強力な拳は、マッハ5の速度でコボルトの顔面に叩きこまれた。それによって発生したソニックブームで、もう1匹のコボルトが壁まで吹き飛ばされる。


「ゴォッ……」


 顔面を殴ったコボルトは、顔面が爆散した。

 壁まで吹き飛ばされたコボルトも、吐血している。


「腕が短いからリーチは短いが、使用感に問題はないな」


 今のスキルは、俺の2つ目のスキル【竜魔流闘術】だ。そして技の1つ、《竜爪撃》である。


 スキルの効果は単純で、【竜魔流闘術】という対魔物に特化した武術を体得すること。つまり魔力を消費して、強力な技を発動できるというスキルなのだ。


「あの頃に、苦労して習得してよかったな」


 かつての俺は魔法スキルと恵まれた身体能力だけに頼る戦いに、限界を感じていた。ごく稀に魔法が通じない魔物が存在し、それに対抗する為には身体能力でゴリ押すしかなかったのだ。


 だが、身体能力でゴリ押す戦いは、すぐに限界が来た。効率的なダメージを与えることができず、どうしても時間がかかってしまうからだ。


 そこで俺は、いくつもの格闘技を習った。

 空手や柔道、カポエイラやバリツなど。

 だがそれらの格闘技は、あくまでも対人間を想定している。魔物と戦う場合は、どれもが一手足りなかった。


 そんな風に悩んでいる時、とあるニュースが目に入った。スキルを複数習得する方法が発見されたという、とんでもないニュースが。


「それまでは1人に付き、スキルは1つというのが常識だったものな。それが複数のスキルを得られるようになったのだから、とんでもない大発見だよな」


 ただ、その一週間後にゾグアスが襲来したのだが。そのせいもあり、複数のスキルを獲得した人間は、俺以外に存在しないのだが。……虚しくなってくるな。


「何はともあれ、【竜魔流闘術】を体得してから近接戦闘が楽になった。魔物にも強力なダメージを叩き出せるし、俺の並外れた身体能力を有意義に使える」


 杉本相手でも、十分に使えるだろう。

 アイツは【肉体強化】系の能力者だから、一般人に比べると少し頑強だ。故に【竜魔流闘術】があれば、効率的に杉本を痛めつけられるだろう。

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