第20話

「…手紙…?」


理人の昏い瞳が僅かに開かれた。

我関せずだったツーサイドアップも怪訝そうにあたしの方を見る。


「中身開けても大丈夫ですか?」


「はい。」


壱さんが、あたしから手紙を受け取り中身を開けると、出てきたのは何の変哲もない1枚の白い便箋。


「“弟のことを知りたいなら、鬼蜘蛛に聞いてみるといい”?」


内容を復唱した壱さんは一層訝しげに便箋を凝視した。


“弟のことを知りたいなら、鬼蜘蛛に聞いてみるといい”


たったの一文だけ。

そう印刷された送り主不明の手紙が突然あたし宛に届いた。

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