第6話

しかし隣にいる女はせっかちらしく、“退いて。”と言いながら黒髪短髪を押し退け


「ちょっと喋れないの?」


大きな双眼であたしを睨みつける。

ツーサイドアップにしたアッシュベージュの長い髪に華奢な体つき。

白磁の肌、長い睫毛、硝子玉のように煌めく大きな瞳。


…こっちは人形みたいだな。


「そんな言い方しなくてもいいだろ。」


「はぁ?何ぬるいこと言ってんの?」


黒髪短髪の言葉に嘲笑を零しながらツーサイドアップがあたしを睨み、その形のいい唇を開いた。


「あんた、ほんとにここに何しに来たの?僕はこのデカブツと違って優しくないの。こんな風になりたくないなら、さっさと口割ってくんない?」

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