検体

ラボの最高責任者は、体調不良で休みをとっている。

自分だって、いやスタッフ全員が体調不良だとスミスは言いたかった。

だが誰かがやらなければならない。


政府からは追加の注文を一時保留とし、原因究明と対策が万全にならなければ買い取った筐体を全て返品する、と言ってきているそうだ。

とはいえ問題のロイドは完全に破壊。データも何も手に入らずどうやれと言うんだと、彼も病気になりそうだった。


 せめて筐体さえ手に入れば…。

顧客に協力を求めることは出来ない。なぜと聞かれれば軍事機密になっている事も明かさなくてはならなくなる。それに、そんな事なら返品する、と全ての顧客が言い出すだろう。



なんでこんな事に。全部お前のせいだ。

沢山のお金を生み出してくれたこの筐体が今は忌々しかった。

顧客から返品された最初の一体…。


「あるじゃないか…!」


スミスは全スタッフを呼び集めて、筐体をバラバラにして細かく分析を開始した。

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