「氷点」



 しんと 静まり返り

 冷たく 張りつめた空気の中

 薄灰色の空から舞い始めた

 氷の結晶が

 あなたの黒いコートの肩に落ちる


 こんなに冷え切ってしまっては

 固まって笑顔がつくれないわ


 できるなら最後に

 その濡れた袖で

 私を抱きしめて


 あなたの温もりと

 痛い冷気を

 感じながら

 この恋と

 さよならするわ

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