第2話
「……紬星(つむぎ)」
ぞわぞわと神経をくすぶる低い声が、行為中の私の耳に届く。
「…なっ…に、」
際どい体勢のまま私の腕を持ち上げた彼が、そこに優しくキスをする。
「不安なのか」
「…っ、別、に…ん、」
言葉の途中で腕を離し、唇を塞いできた哩央がリズムをつけるように腰を動かすから、思考が止まってしまう。
「どこがいい?」
「〜〜っ、わかん、な…ぜん、ぶ」
「…かわいいな」
本当にそうだから、仕方がない。
哩央の手も、唇も。
触れる場所全部が私を歓喜させる。
ぐちゃぐちゃに乱して余計な事を考える隙すら与えない彼に、誰にも心を許せないはずの私は、いとも簡単に揺らいでしまう。
「…もう、いけそうか」
その質問は、今までとは違う穏やかな声で、
じっと目を見つめながら投げかけられた。
「…しかた、ないんでしょ」
「……そうだな」
俯こうとする私の顔を掴み、普通の人よりもずっと鋭い目で再び私を見つめ、「…もうやるなよ。不安なら、抱いてやるから」と囁く哩央。
彼にはすぐ嘘を見破られてしまうと分かっているから、何も言えず、泣かないように唇を噛みしめることしかできない。
「…言ったそばから」
ため息をついた哩央が、私の口の中に指を入れ体勢を変えて自分の上に跨がせる。
「〜〜っん、ぁあ」
どろどろに溶かすように何度も快楽を与えてくる彼に身を委ねる私は、その温もりを離さないよう、必死でしがみついていた。
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