第6話 ほんとの気持ち
もうすぐで午後からの授業が始まってしまう。
それなのにも関わらず、私はそんな事実さえ自身の興奮の材料にして、燐の首筋を甘く噛んでいた。
「瑠乃っ……やっ、やぁっ……やめてぇ……」
最初は強く抵抗していた燐も、その力を徐々に弱くさせ、ただ私の唇を受け入れるだけになっていた。
壁際に押しやった彼女の体は、震えていて、脆い印象を私に与えてくれる。
強く凛々しい姿を見せている部活の時とは大違い。
そのギャップがあり過ぎて、私は逆に止まることができなくなっていた。
たまらない思いを口にする。
燐の耳元で、囁くように。
「……ねえ、燐? わかってるのかな?」
彼女の体がビクッと震える。
耳、弱いのかな。
首筋だけじゃなくて、耳も犯してしまいたい気持ちになってくるけど、
「……ぅぅ……何……が?」
こんな風に、燐は可愛く疑問符を浮かべてくるから、私は返事をする方へ意識を戻した。
名残惜しくて、耳へ息を吹きかける。
すると、燐は可愛く悲鳴を上げて、足腰をガクガクさせた。
立っているのも限界に近いみたい。
私は、自虐心に支配されてゾクゾクする気持ちを懸命に抑えながら、ぽつりぽつりと言葉を並べた。
「燐がこういうことされるのって、悪いことしたからなんだよ? その辺り、わかってる?」
「わ、悪いことって……そんなの……先輩と話してただけなのに……」
「……ふふっ。ぜーんぜんわかってないんだ。ダメだなぁ、燐は……」
容赦しない。
何一つ反省していなかった燐の耳を吐息交じりに甘く噛む。
「んひぃっ!」
燐の体は跳ねるようにして震え、そのままビクビクとし続ける。
同じ女の子にこんな風にされて……。
よくない感情が沸々と湧き上がる。
「も……だ、だめぇ……」
崩れ落ちるようにその場で尻餅をつく燐だけど、私は彼女に合わせてしゃがみ込み、なおも壁に押しやって耳を甘噛みし続けた。
その姿は、きっと骨の髄までしゃぶり尽くそうとする捕食者と被捕食者みたいな絵になっていると思う。
でも、それは間違いじゃなかった。
虚な目をして、私の気持ちを揺らがせにかかってくる燐は、私に食べられてしまって当然で。
それに快楽を感じている彼女は、私と同じただの変態でしかない。
もう……後戻りできないところまで行っちゃおうかな。
脳裏によぎるのは美嘉先輩。
あんな人に燐を奪われるくらいなら、いっそのことやっぱりここでこの子を自分のものにする。
だって、私は燐のことが好きなんだから。
恋人なんだから。
「……ふふふっ。ごめんね、燐。もう私、ダメみたい」
半開きになった燐の口元。
その唇に、自分の唇を当てがおうとした刹那だ。
次の授業開始を知らせる鐘が鳴った。
心の底から悔しい気持ちが湧き出る。
……もう少しのところで。
荒ぶる自分を抑えて、腰砕けになった燐を立たせてあげる。
でも、私の支えがないと、今の燐はちゃんと歩けなかった。
ずっとこうなってしまえばいい。
私の支えが無かったら、燐は何もできなくて、私を頼るしかなくて。
そうしたら、勝手にあんな先輩は消えていく。
消してしまいたい。あの人のこと。
「……燐……もう私……」
そこから先の言葉は紡がなかった。
口にしてしまえば、何もかもがそこで終わるような気がして。
私は、自分の気持ちに今日ハッキリと気付いたのだった。
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