神理戦記 ー火炎の探究者ー

@kokomin56

第1話 — 炎の試練と覚醒 —

第1話 — 炎の試練と覚醒 —


荒野に広がる無数の瓦礫と、風に舞う砂塵。かつて栄華を誇った文明は、今やただの記憶と化し、この世界は新たな時代へと突入していた。中立国・黎明(れいめい)は、戦火から距離を置きながらも、古代の知識と遺物が静かに眠る場所として知られている。


そんな黎明の片隅、一人の青年が佇んでいた。


彼の名は焔(ホムラ)。

幼少期、捨てられ孤児として育った彼は、常に「世界の全てを知りたい」という好奇心と、自らの運命を切り拓くための前向きな心を胸に、古物ハンターとして旅を続けていた。


その日、ホムラは伝説に導かれるように、荒野に点在する古代遺跡の一つ「炎の遺跡」へと向かっていた。


この遺跡は、神理の力を授かるための試練の場とされ、伝承によれば「試練を乗り越えた者だけが、神と契約し、その力を手にする」と言われている。


「……ここか。」


ホムラは目の前にそびえる巨大な石門を見上げた。古の文字が刻まれ、風化しつつも、荘厳な雰囲気を醸し出している。


――試練を越えし者に、炎の神理を授けん。


門の中央に浮かび上がるその言葉を見て、ホムラは口元を引き締めた。


「俺は、この世界の全てを知るために来た。ここで引き返す気はない。」


静かに言い放ち、彼は門をくぐった。


炎の遺跡・試練の間


遺跡内部は広大な石造りの空間が広がり、天井は高く、壁には炎を象った紋様が無数に刻まれている。奥へと進むと、巨大な円形の闘技場のような場所にたどり着いた。


ズンッ……


突如として、床が揺れ、中央の祭壇が輝き始めた。


ゴウッ!!


烈火と共に、巨大な炎の獣が姿を現す。全身を業火に包まれたそれは、獅子のような姿をしており、赤熱した瞳でホムラを睨みつけた。


「……なるほどな。試練ってのは、こういうことか!」


ホムラはすぐに理解した。ここで戦い、この獣を倒すことができなければ、炎の神理の力を得ることはできないのだ。


「試練を超えよ。さもなくば、燃え尽きるのみ……」


炎の獣が咆哮し、ホムラに向かって突進してきた。


試練の戦い


「チッ!」


ホムラは即座に身を翻し、獣の猛攻をかわす。しかし、熱波だけでも肌を焼かれそうになるほどの威力だった。


「このままじゃ、まともに戦えねぇ……!」


ホムラは周囲を見渡しながら、獣の動きを観察する。


(こいつは炎をまとっているが、本体は中央のコアの部分か?)


鋭い観察力で敵の弱点を見極めたホムラは、果敢に飛び込む。獣の炎の爪が迫る中、ギリギリで回避し、その腹部へ拳を叩き込んだ。


「喰らえッ!」


衝撃が獣のコアに伝わるが、獣はすぐに反撃してきた。強烈な火炎弾が放たれ、ホムラは間一髪で回避するも、腕に火傷を負う。


「クソッ……このままじゃ、ジリ貧だ……!」


だが、ホムラは苦笑した。


「……面白ぇ! 乗り越えてみせるさ!」


彼の心には、諦めという文字はなかった。


その時、獣の動きが一瞬止まった。ホムラはそれを見逃さず、渾身の力で跳躍し、獣の背中に飛び乗る。


「勝負だ……!」


彼は獣のコア部分に向け、全力で拳を叩き込んだ。


ドンッ!!!!


強烈な衝撃が獣のコアに響き渡り、次の瞬間――獣の体が崩れ、炎が四散した。


試練の獣は、消滅した。


「……やったか?」


ホムラが息を整えたその時、祭壇が再び光を放ち、炎の中から、一柱の神が姿を現した。


契約の刻


「見事だ。」


低く響く声が、ホムラの全身に染み渡る。


彼の前に現れたのは、炎を纏う神――迦具土神(ヒノカグツチ)。


「汝、試練を超えし者よ。我が名は迦具土。汝に問う――この力を手にし、何を求めるか?」


ホムラは拳を握りしめた。


「俺は、世界の全てを知るために生きる。だからこそ……この力が欲しい!」


「ならば、契約を交わすがいい。」


神の声と共に、ホムラの右手が灼熱の光に包まれ、巨大なハンマーが出現した。


火紅鎚(カグツチ)――それは炎の神理を宿した、彼の新たなる武器。


ホムラはそれを握りしめ、熱く燃え上がる力を感じた。


「これが……俺の新たな力!」


戦火の始まり


しかし、その瞬間――


遺跡の入口から、轟音と共に、複数の影が押し寄せてきた。


「……ようやく見つけたぞ、神理の力を持つ者よ。」


それは、ヒビキの支配する「日輪軍(ひのわぐん)」の兵士たちだった。


「神理の力を手にした以上、貴様は日輪軍のものとなる。おとなしく投降しろ。」



ホムラは静かに火紅鎚を構え、炎を纏わせた。


「ふざけんな。俺は、俺の意志で生きる!」


その宣言と共に、彼の新たな戦いが始まった――。


第1話・完


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